ユリイカ2024年1月号がpanpanya特集だったので買って読んだ。panpanyaさんはここ数年もっとも頻繁に読み返しているマンガ家さんの一人だ。
自分は細かい物や言葉に強い興味を持つ一方でコレクター趣味は全く無く、手先も不器用だし物事のとらえ方も雑駁な方なので、しっかりと世界を整序構築していこうとする人に出会うとおののいてしまうのだが、インタビューを読んでいて、panpanyaさん自身はいわゆる蒐集趣味とは微妙に一線を引こうとしているらしいところに共感を持った。
それで思い出したのは、作品集の中に、「コンビニおにぎりの包装を通常想定されている外し方とは別のルートを考案してまでして表面のシールを破らずに取り外してみる」という内容のものがあり、おもしろかったので自分で実際にやってみたところ、一回でうまくできた。マンガそのものが丁寧なマニュアルになっていることに感心すると同時に、もしかしたらpanpanyaさん自身も実はそんなに手先が器用なわけではなく、だからこそ丁寧な描写になっているのでは、と思うところがあった。
また、「廃墟は味が濃すぎる」という発言も印象的だった。
物はそれが置かれた時と場所から離れると独自の主張を放ちはじめる。その主張が良いという人も多いが、自分はそうなる前の、風景の中で常にピンボケしたまま存在して、注目しようと意識したところで完全にはフォーカスし切れない、茫漠とした印象でしかとらえられないものを、できるだけ見ておいて、折に触れて思い出したいという気持ちがある。
そういえばpanpanyaさんのマンガを読んで筑波山に登ろうと思ってからすぐコロナの流行がはじまり、もう4年近く過ぎた。今年こそガマの油の秘密に行き着けるだろうか。