雨は好きだけど曇りは嫌いだ。
雨は滴る音を出してくれるし、地面に反射する街中の景色は美しい。
植物は雨を栄養にして育つし、湖も潤う。
雨の日の朝はまるで世界が「今日は落ち着いていいんだよ」と声をかけてくれているかのような気分になる。
曇りの日はどうだろう。
どんよりとした雲は晴れた日の雲と違い形を見出させてはくれない。
海は反射するべき光を失い黒く濁り、日光は注がれずに植物たちもどんよりだ。
気分でいえば「今日はしんどい日だぞ」と言われているようだ。
ただし曇りでも全部嫌いなわけじゃなくて、すごく好きな部分もある。
それは曇り空の隙間から覗くまるで後光のような光芒だ。
遠くの山に注がれる光芒をみるだけで、なんともいえない気持ちになる。
どこかの有名人の言う「止まない雨はないよ」みたいなありきたりで退屈な励ましの言葉より、心の奥底に希望を注いでくれる。
そんな曇りが嫌いで好きだ。