TL;DR
Vision ProはiPhone以来の革命
Literally 筆舌に尽くし難い(体験しないと伝わらない)
100%の体験を得るためには、すべてのセットアップを完璧にする必要がある
もう従来のHMDに戻れない助けて....
Vision Proを試した
3月上旬、Vision Proを2日間にわたって、合計1時間ほど体験する機会を得た。
対Vision Proの自分のスペック
感想を述べる前に、お前どのくらいHMDわかっとるんじゃい、という話をしておく。
自ら購入したHMD、またはそれに準ずるもの↓
Oculus Go
初代Oculus Quest
初代Xreal Air
試したことのあるHMD↓
初代HTC Vive
Oculus Quest 2
Varjo XR-3
視力
両目とも裸眼視力1.5くらい
ビデオシースルー
本当にすごい。これは今まで見てきたものと段違いである。
ビデオシースルーと呼ばれる機能が昨今のVRには存在する。これはHMDに搭載されているカメラで周囲を撮影し、その映像をHMDのディスプレイにリアルタイムで表示するものである。
初代QuestやQuest Proではブラウン管のような黒白でガビガビ映像な映像ではあるが、「パススルー」という名称でこれが提供されていた。また、Quest3ではより精度も向上し、「カラーパススルー」へと進化した。遅延も少なくなり、普通にコンビニへ買い物に行けるくらいのものには進化した。しかし、手の周りに映像の歪みが見受けられたり、明らかにビデオの映像だなとわかるほどの解像度の荒さは感じられた。
また、VarjoのHMDにはカラーのビデオシースルーが搭載されている。こちらはQuest3よりも綺麗な映像ではあるが、少々の遅延を感じるものではあった。
Vision Proのビデオパススルーは文字通りレベルの違うものであった。個人の感想だが、まるでガラス一枚挟んでいる様な、スキーのゴーグルをして外を見ているように感じられた。それほどまでにほぼリアルな外界をそのまま見ているように感じられたのである。実例を挙げてその美しさを表現すると、自分のダウンから抜けた小さな白い羽が空中を舞うのをはっきりと視認できるくらいはっきりと周辺が見えるのである。Vision Pro越しに見る手元のiPhoneは、流石に裸眼で見るよりは少々ぼやけて見えるものの、操作も可能、文字も読める。まさにゴーグル越しに視認するのに近い感覚であった。
また遅延も全くと言っていいほど感じられなかった。実際に歩き回ったり他の人と握手をしたりといった動作も難なく行えた(その遅延の少なさゆえ、付けたままでもジャグリングやヨーヨーは普通にできるらしい)。
Varjoと違い、これがStand Aloneで動いているのは本当に驚きである。
注意してみると視野はやはり狭いことがわかる。しかしQuestをつけていたときに感じたような、あ、ここが視野の端だな、といった感覚はほとんどなかった。何がそうさせているのか、とても不思議である。
この精度、この美しさであれば、付けながら普段の生活を難なく送れるなと感じた。付けっぱなしで日常の作業を行うことも、外出することも、おそらく余裕である。
Eye Tracking
自分は体験を始めた時はゲストモードを有効にせずに、所有者の設定のまま試していた。そのためEye Trackingが全部ずれており、ほとんどの操作を従来のVRのように空中をタップすることで行っていた(この時は何も気が付いていなかったがHand Trackingの精度も相当なものである。ずれることはほとんどなかった)。
しかし、ゲストモードを有効にし、Eye Trackingを有効にするとあら不思議!どの方向を見ても視線の先のボタンが完璧に動作するではないか。
遠くだけではない。例えばログイン時のパスコード入力時、あるいはキーボード入力時に、押したいキーを見てから指をつまむ動作をするだけで入力が成立する。
どういうことかというと、従来のHMDであれば(当然ソフトウェアキーボードをブラインドタッチすることはできなかったので)
キーの位置を目で確認する
↓
腕を伸ばす
↓
指で押す
という動作が必要であったのが、Vision Proでは
キーの位置を目で確認する
↓
膝の上の指を摘む
の2stepで入力できるのである。
もちろん腕を上げて空間のそれをタップすることもできる。が、視線だけでも入力は成立してしまうのである。
見ているところが確実に反応するこの感覚はぜひ試して確認していただきたい。
UI使用感
コントローラーがないことに最初は戸惑ったが、操作は今までのApple製品そのものなのですぐに使いこなせた。
これまでのHMDは立ち上がって操作することを前提に作られていたが、Vision Proは座って操作することが一番しっくりくるなと感じた。なぜならば、自分が移動しなくても、視線とジェスチャだけで全てを快適にコントロールできるからである。
近くにあるものは空中を手でタップ、遠くにあるものは視線+手のつまむ動作、この二つだけで好きなようにコントロールできる。
下は写真アプリを開いている状態だが、ここに表示されているボタンを見つめて指を閉じれば選択される。またウィンドウ下部の白線を見つめて、指を閉じ、膝の上の手を手前に引き寄せればウィンドウも近くに来る。隣にある丸い点を一瞥するとバツ印が出てきて、指を閉じるとウィンドウは消える。
感覚としてはiPadのウィンドウが空間に置き放題、というのに近い。近くに引き寄せた時の感覚はiPadを手で触っている状態、遠くのウィンドウを操作しているときはiPad+Trackpadの感覚である。
遠くのウィンドウを操作するときは基本的に腕は膝の上で良い。空中に腕を上げる必要がない。そのためVR特有のゴリラハンド問題は起きづらいと考えられる。
椅子に座ったまま全てを操作できるこの感覚は快適そのものであった。
繰り返しになるが、操作体系は従来のVR機器とはマインドセットが全然違う。iPadを空中に置いたようなそんな感覚である。Appleが初代iPadを発売したとき、それは単なる大きいiPod Touchであった。今後ユーザーがVision Proに慣れていくとともにどのように独自の進化を遂げていくか楽しみである。
その他
個人的には付け心地はそんなに悪くなかった
思ったほどの重さもなかったし、顔に当たる感じもしなかった
個人的には使ってて疲労感は皆無。何時間でもつけていられそう。酔うとか想像できない
Questに代表される従来のHMDのデザインはそれはそれでかっこいいけど、それらと比較してvision proの布+アルミのデザインはだいぶギーク感が少なくなっていた
また体験が終わった数日後に気づいたことだったが、他のHMDでは装着前に絶対に見るはずの内側のレンズを、Vision Proを体験した際には一度も見た記憶がない。Appleに記憶を消されてるのか、それほどまでにスムーズな着脱だったのか、今となっては知る由もない...(その後研究室でじっくり触った際にはがっつりレンズを見た)
ストラップが使いやすい。ダイヤルで調整できるのよかった。Quest Proも似たようなものがあるがそれより良い
某所で試した時はアプリがいっぱい立ち上がっていたためか、結構動作が重い時があった(普通にUIがカクカクするし、アプリ一覧のスクロールがもっさり)。ただシースルーが乱れることは一切なく、そこは完全に別プロセスで動いてるような気がした (R1チップでバイパスして処理している?)
もうすでにVision Proのクオリティに慣れている自分がいる。恐ろしい。Questには戻れない...
終わりに
これは欲しい。MacBook ProとVision Proで過ごしたい。