本記事は面倒なことはChatGPTにやらせよう Advent Calendar 2024 6日目の記事です。
「振り返りは苦手なんですよね」──この言葉を、今年は何度も口にした。
所属先が振り返りの重要性を強調していることもあり、その価値はよく理解している。実際、振り返りを行えば「あの判断はこうすべきだったな」と新たな気づきが得られることもわかっている。しかし、頭では理解していても簡単には苦手意識は消えない。私には振り返りはどうしても難しい。
振り返りと呼んでいるものの行いは、たいてい頭の中だけで行われる。一定期間の自分の行動を列挙し、それぞれに問いを投げかける。私にとってこの作業は、頭の中で樹形図を描くようなものだ。列挙する経験や問いが増えれば増えるほど、樹形図はより細分化していく。
ワーキングメモリーの考え方に則れば、振り返りを進めるにつれて頭の中のデスク上にどんどん書類がバラまかれていって、作業スペースが無くなってくるようなものだ。その結果、私は作業スペースを失って、いつも同じことしか考えられなくなってしまう。
でもやっぱり自分の判断基準を見直す習慣は取り入れたい。「苦手でも振り返りを日常的に取り入れられたらいいなー」と思っていた時に、「ChatGPT使って試したらよいのでは?」とひらめいた。
「今日の日記」が振り返りをスムーズにしてくれる
私が作った「今日の日記」GPTsは、以下の6つの質問を投げかけてくれる。
今日試した仮説
今日試した結果
再現or防止方法は?
タスクシュートの先送り数と原因分析
今日の一言
明日試したい仮説
※ここから実際の使用画面が出てくるが、念のために一部を塗りつぶしている
会話の最初はこんな感じで質問をしてくれる。
私はこのように「、」で区切って箇条書きで入力する。
6項目全部の回答が終わると、最後には以下のように入力内容をまとめて出力してくれる。
上記のまとめは一部だが、ちゃんと全部の回答を一つのチャット内でまとめてくれる。入力時に文章を「、」で区切っていたとしても、「今日の日記」は箇条書きに直してくれる上に、最後にすべてをひとまとまりにして出力してくれる。これにより、別の場所に記録をコピーする作業も簡単だ。
私は結果をNotionに貼り付けて毎日の記録として残している。一連の流れはスマホで操作できるため、家事の合間に気軽に着手できるし、中断したとしてもすぐ振り返りが再開できる点が大きな助けになっている。
振り返りが現在の6項目に至った経緯
GPTsで振り返り用のbotを作ったきっかけは、Netflixで配信されている『LIGHTHOUSE』を見たことだった。一行日記を書くという取り組みが、とても楽しそうに見えたのだ。自分でも無理なく続けられる気がして、簡単な記録を始めてみることにした。
しかし、たった一行の日記を書くにしても「今日何をやったか?」を思い出す必要がある。簡単に思い出す方法としてChatGPTに質問させてそれに答える方法を思いつき、「今日の日記」を作り始めた。
やったことや考えたことを「今日の日記」を使って思い出す中で、所属先で教わったフレームワーク「G-POP」を思い出した。
これを1日単位に適用しようと考えたが、G-POPの「Pre(事前準備)」がうまく当てはまらない。そこで、動画で見た高森勇旗氏の話からヒントを得て、「行動前の予測・期待すること」を仮説と捉えて、「Pre(事前準備)」にあてはめてみた。
「きっとこうなるだろう」をG-POPのPreとして置けば、1日単位の予測と実際の結果から自分の判断が適切だったかどうかを見直せると思った。
このように一行日記の習慣化から始まり、習慣化できてから内容を少しずつ追加していくことで、無理なく毎日振り返りができるようになった。最初は意図していなかったので、振り返りの習慣化に成功したのは運が良かっただけかもしれない。
さらに、その日に先送りした作業を見直す項目も追加した。『先送り0』をきっかけに、タスクの先送り数を日々分析するようになった。
このように少しずつ項目を追加することで、暫定版として現在の6項目が完成した。
GPTsを使ってまで振り返りをするメリット
ここまで読んでくださった方は、「そこまでして振り返りやる?」と思われるかもしれない。頭の中で完結できると言う人や、紙に書けばいいと言う人もいそうだ。
では私にとってChatGPTを活用した振り返りの最大の利点は何か。それは、列挙したたくさんの出来事を頭の中に抱え込む必要がなくなり、目の前の問いに一つずつ集中できることだ。
ChatGPTに入力することで、経験や振り返りの問いをテキストとして外に出せる。それにより、頭の中で同時に複数の内容を思考することなく、一つひとつ順番に考えられる。このプロセスのおかげで、振り返りの負担が軽くなった。
また、スマホで手軽に振り返りを実施できる点も大きなメリットだ。机に向かう必要がないため、思い立った時にすぐ取り組める。家事の合間に手軽に着手できるし、仮に中断してもChatGPTとのやり取りを見れば思い出せるので再開しやすくなる。
もちろん、これらのメリットだけでは苦手な振り返りを継続するモチベーションが続かない。私も「振り返りは重要だから!」だけでは続けられないと思う。
私が「今日の日記」を活用した振り返りを続けられているのは、振り返りをしたいからではなくって「ChatGPTを使うのが楽しい」とか、「せっかくChatGPTに課金しているのだから使わないと勿体ない」などの理由からである。簡単に言えば、"ChatGPTで遊んでたらおまけで振り返りができるだけ"だ。
時短じゃなくて人間の能力やスキルを補助する事例が増えると嬉しい
私の場合、ChatGPTを活用することで、苦手なことへのハードルを大きく下げることができた。「重要だと思っているけれど、得意ではないから実行や継続が難しい」と感じることも、ChatGPTのサポートがあれば意外と取り組みやすくなるのかもしれない。
生成AIの利用法は、ビジネスや時短を目的とする使い方が注目されることが多く、単純作業の実行や使用者の知識・スキルを補う方法も頻繁に紹介されている。
しかし、私は時短ではなく、人間の思考や行動を補助・拡張するツールとして活用する方が、生活をより豊かにできると感じている。だからそのような使い方が増えるといいなと思う。