朝日新聞の書評欄で紹介されて、読んでみたいと思ったので購入。著者は、NHKラジオR1のラジオ深夜便のコーナーで何回か聞いたことがある。
冒頭から読み進めなくて、困っている。
〈自分の病状を医師に伝えないといけない。しかし、これが難しい〉
自分の痛みや状況を医師に伝えることほど簡単なことはない。
2019年春、愚息が大けがをして吸入管を首に刺していた時期があり、発声を失ったことがある。看護師が五十音の表をつくってくれた。面会時間の終了が迫ったとき、愚息がその表をつかって「た・す・け・て」と指を動かした。
このときのことを思い出すと、たまらなくなる。あいつにどれだけの痛みがあったのだろう。その後も別れ際、同じことを伝えられた。
入院生活は3カ月ほどになったか。
本人はそう思っていないかもしれないが、あれから愚息はあまりいい経験をしていない。私もなんとかしたかったが、愚かな父親だ。
愚息はきょう卒業式。「こんな学校に行きたくなかった」と、母親との三者面談で絶叫した学校だ。先生たちの印象もさぞかし悪かっただろう。逆に、よく通えたなというのが、あまあまとーちゃんの評価だ。
とにかく大学を卒業させ、それなりの資格を取らせて、ひとまずは自立できる、稼げる人にしなければならない。けど、ゆっくりでいいか。
とーちゃんは長生きできないかもしれないけど、私のおやぢも好きかってさせてくれた。時折突っ込むけど、それはそれで。
ともかく、高校卒業おめでとう。