ちょうど1年前に撮影した、保護猫の五十六さん。雄猫、13歳(当時)。
キジシロで、胸の辺りの白い部分がなんともかっこよく、気品・威厳を感じてしまうとても印象的な猫さん。とはいえ、人の側にさりげなく寄り添う人なつこさもあった。
だから私は五十六を「提督」と呼んでいた。
東京・三軒茶屋で月に2回ほど保護猫譲渡会を開いている方たちとたまたま関係を持ち、娘を連れてたまにお邪魔するようになった。
譲渡希望の猫さんたちは、やはり仔猫や1~3歳ぐらいの猫さんに集中してしまう。ただ、五十六は違っていた。
譲渡会の場所は、「猫さんとの共生」を目的としたオープンスペースを保有する賃貸マンション。このスペースに猫さんが常時3~4匹常駐している。五十六はその中の1匹だった。
2023年秋ごろだったか、五十六に希望者が出て無事譲渡されたことを知る。その後、譲渡会の方に「よかったですねー」と話を聞くと、こんな経緯だったようだ。
受け入れた方がどんな人だったのか聞くと、譲渡会の方のおばさまSさんは、右手の人差し指を上に向ける。「上の階に住んでいる人」という。
この上の階に住んでいる人と五十六は顔を合わせながら、いつの間にかよい関係になっていたらしい。それから五十六はこの方の部屋にまで行き、にゃーとよく鳴いていたそうだ。
この建物に住むのだから、元々猫好きな人。「では、迎えるか」ということで、なんと13歳高齢猫さんの譲渡が成立。なんとも、近年まれに見る、うれしい結果をもたらした猫さんだ。
「五十六はね、自分で受け入れ先を探した本当に珍しい猫」とSさん。私も、どことなく「五十六らしいな」と思った。