今年の目標は、可視化である。なんのこっちゃ。
見ただろうか。Twitter(現X)のトレンドに突如として現れたハッシュタグ、「ADHDのパワー系ソリューション」を。ADHDの人々が、苦手なことの対応策を共有し合うハッシュタグである。工夫や、ちょっと強引なパワー系工夫で、苦手を乗り切っていく人々がそこにいる。有用な知見と、前向きなパワーのもらえる良いハッシュタグであった。
私がやっているパワー系のソリューションがあるとしたら、「お菓子を開けたら食べ切ってしまうのを防ぐために暴君ハバネロを買う」とかです。食べきれない。辛くて。美味しいしな。
で、可視化。そのパワー系ソリューションを投稿されている方々の多くが、共通して言っていることがある。
「見えないと忘れる」。
これに、思い当たる節がめちゃくちゃあった。もともと、ものすごーく忘れっぽい。短期記憶がない。自覚はある。困っている。困らせてもいるだろう。しかし「どうしたら忘れないのか」というのは、皆目見当のつかないことだった。
「見えないと忘れる」。それが分かれば、問題はシンプルだ。見えていれば、忘れない。それで、可視化していこう! と思った訳なのだ。可視化する。あらゆるものを。
タスクの可視化
もう手をつけてはいる。まずは、Apple WatchとiPhoneだ。
iOSにはもともと、純正のリマインダーアプリがある。物忘れに良いとは聞いていたので、何度か使ったことはある。が、ダメだった。上手く使えなかった。そもそも、「リマインダーに書いた」ということを忘れるのである。リマインダーの存在、そのものを忘れる。一応期限を設けて、通知が来るようにはしていた。が、通知が来ても……スルーしてしまうのである。スルーして、結局忘れる。リマインダーちゃん、泣いちゃったじゃん……。
が、そこをiOSのアップデートが解決した。ウィジェットだ。スマホの待ち受けから直接アプリを操作できる、あれ。
こうした。待ち受けの、一番前、先頭だ。ホームボタンを押すと、常にリマインダーが目に入る。見える。見えていれば、忘れない。さらに、タスクの達成期限は文頭に入れることにした。達成期限も常に見える。見えていれば、忘れないのだ。
それにしてもラインの未読がやべえな。
仕事用のスマホ(弊社、驚いたことにiPhoneが支給される)にも、同じようにした。ホーム画面にリマインダーがドデカく表示されている。これをしてから、仕事のヘマが激減した。報告書も期限に間に合うようになった。素直に嬉しい。
ちなみに、タスクは大小のあらゆるを問わず、すべてを書き込んでいる。爪を切るとか。書類を振り分けるとか。だって忘れるから……。
だが、リマインダーに書き込むことそのものは、結構面倒だ。爪を切るとかそんなことまでいちいちアプリを起動してポチポチ打ち込むのはそれなりに手間だし、「何時に通知」まで手入力するとなると、本当に面倒くさい。以前リマインダーを習慣づけられなかったのは、そのせいもあるだろう。そもそも、スマホを開きにくい時もある。運転中に、ポッと「後で爪切らなきゃ」と思いついた時とか。
そこで活躍するのが音声アシスタントSiri、そしてApple Watchだ。左腕に「hey siri、家に帰ったら爪を切るをリマインド」と話しかければリマインダーが作成される。
そして、登録してある住所に近づくと、「爪を切る」という通知が届く。
運転中でも、次の赤信号の時には忘れてそうな思いつきでも、喋るだけでリマインダーが作ってもらえる。もうね。楽。この、「あらゆるタスクをすべてリマインダーに書く」という七面倒なことを実現できているのはSiriのおかげ以外にない。純正アプリだから連携もバッチリだし。仕事中のスマホを見られないタイミングでも、時計を見る感じでリマインダーを見られる。
「タスクの可視化」は、今やなくてはならないものとなっている。Apple信者のつもりはないんだけどそれはそれとしてAppleに生活を握られてるよ。
収納の可視化
これについては、まだ考え中だ。材料も揃っていない。
このところ、ようやく、脱汚部屋を果たした。前にもしてなかったか? あれは……汚部屋脱出カッコ仮であった。引き出しの中とか、クローゼットの中とかには、手をつけていなかったのである。だが、足の踏み場のない状態からフローリングに寝転がれるまでに回復させたのだ。仮とはいえ汚部屋脱出と言っても良かったのではなかろうか。
そして今回、今度こそ、真の脱出を果たした。引き出しの中とか、クローゼットの中とかの“魔窟”を掃討し、奪還したのである。ようやく、ようやく、これで……汚部屋脱出だ。
が、戦いは終わらない。リバウンドしないように戦い続けねばならない。整理整頓という戦いが、まだ待ち受けている。
それで、そこも可視化すべきだな……と思ったのだ。
片付けが苦手なADHDの片付け法として、よく言われるのは「なんでも箱を作れ」ということだ。「モノの住所を決めて、そこに戻す」ことは難しいので、「なんでも箱を作り、とりあえずそこに入れる」という作戦だ。間違いなく、床に散らばってるよりは遥かにマシだ。
が、私はその「なんでも箱」の末路を見てしまった。今回掃討した、引き出しやクローゼットの中身だ。あれは……魔窟であった。ヤバかった。いや本当に。ゴミしか入ってなかった。なんでも箱はゴミで溢れ、溢れたモノが床に満ち満ちていた。
なんでも箱がそうなってしまう理由のひとつが、「見えないから」ではないかと思う。見えないものは忘れるし、忘れたものは存在しないのと同じ。そして、ゴミが存在しないなら、問題もない。と、誤認してしまうのではないかと。ついでに何入れたのかも忘れ、食べ物を入れれば腐らせ、必要なものを入れれば新しく買ってしまう。恐ろしい。
「見えないと忘れる」、のに、「なんでも箱を作ってそこに入れる」。入れて、見えなくする。そこには矛盾がある気がする。そして、その矛盾を解決できるのであれば……。と、今考えて、いろいろと材料を揃えている最中だ。
「見えるなんでも箱を作る」ことを計画している。まだまだ机上の空論だ。上手くいって、部屋がきれいな状態を維持できたら、その方法も共有したい。こういう工夫を考えてる時間が一番楽しいんだよなあ〜。
この計画によって、なんでも箱を……いや、魔窟をコントロールする。してみせる。そう、ダンジョンボスに私はなる。応援よろしくお願いします。