ずっと夜の写真が撮りたかった。 小さいころ フィルムの感度?が高ければ撮れると聞いて わくわくしながら ISO1600?くらいのやつを奮発して買って 撮ってみたけど ざらざらのぼけぼけだった;;; iPhoneのCortex Cameraというアプリや Sony製デジカメの手持ち夜景モード?を使って バースト撮影 + 合成みたいなこと いろいろ やってみたけど どれも いまひとつで。 いつでも すぐ そこにある みんなが知っている美しさを、 街灯 アパートの階段 斎条 消防署 駐車場 ガソリンスタンド コンビニ 自動車ディーラー を 写せないことを くやしくおもってた。
昼の写真は 高いカメラでなくても 誰でも わりと簡単に撮れる かしゃ かしゃり。 でも 夜の写真は 技術と 知識と 経験と 工夫と 機材がいる 全く 段違いに難しい。 難しいことに対して 簡単と思って取り組むと あれ? なんか?? うまくいかない!!ってなる。 難しいことに対して これは難しいことなんだって ちゃんと認めることは 最初の0歩として大事とおもう。 それまでの私は 思いあがってた 驕ってた ごちゃごちゃ めんどくさいことせず なんかラクな方法あるっしょ。 でも 今の私は えらく まじめで 頭の中のチェックリストを ひとつずつ丁寧に確認し シャッターを切り ちゃんと写りますように 暗闇の中で じっと祈ってる。
「きれいな夜景の撮り方」 ここに書くのは 2024年3月現在 私が やってる方法で 正しいか分からない ずっと試行錯誤して より良くしていくんだろう。 iPhone Pro? Pixel Pro? とか もっと 簡単で良い方法ありそう。
最初に まとめると こうなります。
三脚と雲台を使う
風が弱い日に出かける
タイマーまたはリモコンを使う
電子シャッターを使う
ISOは できるだけ低くする
タッチフォーカスを使う
強い光源がある場所ではF値を小さくする
ダイナミックレンジの広いカメラを選ぶ
RAWで撮影する
露出は-1.0から-3.0程度の暗めにする
偽色を丁寧に取り除く
三脚 / 雲台
三脚は 伸ばした状態のまま 自転車のカゴに引っ掛けて運んでる 道路に合わせて 右と左に 掛け変える。 でっぱってる棒やツマミなどは 邪魔なので ボルトと薄型ナットで置き換えてコンパクトにしてる。 暗闇で立てたときに目立つように 蛍光テープを たくさん貼る。 歩きの場合は カメラをセットしたままで持ち運んでしまったりする ストラップを 軽く三脚に巻いておくと 邪魔にならないし 万が一の落下時に助かりそう。
持ち運ぶなら軽い方が良いけど 風のブレなど考えると 星座撮影の人が使うような 重かったり 足が尖っていたり(石突)する三脚が良いのかも。 サンドバッグや ストーンバッグ またはペットボトルに入れた水とフックなどを 別途持ち運び 重くして安定させる方法もある。 手や体で風を遮って 影響を少なくしたりもする。
橋の欄干や 柵 越しに 撮影するときは 足を2本短くして 斜めに立てかけて使う。 高さが足りないときのために 延長するためのポールも持ち運んでる。 対象物が 民家や花壇などで小さかったり 駐車場など天井が低かったりするときは カメラの位置も低くする 垂直水平。 高くしたり 低くしたり めんどくさいけど アオリ補正を減らして 自然で 静かで 整理された画面にするには 必要とおもう めんどくさいことだらけ。
傾きなど 細かな構図の調整は 三脚の機能は使わず 全て雲台で行う。 雲台とクイックシューは ずっとカメラに点けっぱなしで そのまま 首から ぶら下げて運んでる。 300円~1000円くらいの 安い雲台は 止めた時に反発して なかなか構図が決まらないし 指も痛くなるので ぜったいに買わない方がいいとおもう!! 時間が もったいない。 2000円くらいの高いやつは きゅっ ぴたって止まる。 水平標準表示画面にして きちんと水平をチェックしたりする。
カメラによるけど 手ぶれ補正は 一応 オフにする 不要なノイズ発生を避けるため。 道路や風の振動の周期は補正対象でない とのこと シャッター押した後の振動などは減らせそうな気もするけど、、??
シャッター
シャッターは 5秒のタイマーを使ってる 2~3秒だと短くって 触った振動が残ってることが多いので避けた方がいい 10秒は 長すぎな。 Nikonは 1枚 撮るごとにタイマーモードが解除されてしまったりするので 買うとき 注意。 レリーズやリモコンを使うのが正統だけど ポケットから出したり ごちゃごちゃするので 結局 タイマーが最も早くて手軽とおもう。 この動画を見ると 実際の撮影の雰囲気が伝わるとおもう。
ミラーショック(シャッター機構の振動)で ブレないように 電子シャッターモードを使ってる 夜の住宅街でも 静かに撮れるメリットもあるし。 顕微鏡撮影のためのディレーモード(ミラーアップの1秒後に撮れる)を使ってもいいのかも。(LED照明を撮ること多いので フリッカー現象の影響を受けやすいから メカニカルシャッターの方が いい? 一長一短)
ISO
ISOは 私のカメラの最低の100で撮ってる 前は 200だった。 長時間露光のノイズ除去機能は使わない 時間が掛かるし 逆に変な模様が出る可能性もあるから 現像時にソフトウェアで除去する 簡単 きれい 量を調整できる。 風が強かったり 振動の多い橋の中間点などで撮るときは ISOを300~400程度まで上げたりする。
動かない風景と 動く人などを 同時に きれいに写し込みたいときは 異なるISOで撮った画像をスタッキング合成する。 ほぼ同一の複数の画像を重ね合わせ ノイズを除去したり 不要な人などを消去したり スタッキングは幅広く使える基本的なテクニックとおもう。
ピント
夜って ぜんぜんピント合わないカメラある!! 私は フォーカス指定とシャッターを 液晶タッチで同時にやってる 揺れないようにカメラを押さえて そっとピントを合わせたい箇所にタッチする。
暗かったりして ピントが合わないときは フォーカスエリアをワイドにして 成り行きに任せたりする。 カメラ比較サイトで Number of focus pointsが多いものを選んでおく 私のα7Cは 693ポイントだった。 フレキシブルスポット機能で フォーカスポイントを手動で設定してもいい NEX-5を使ってるときは そうしてたけど ちょっと めんどう。
それでも 合わない場合は マニュアルフォーカスを使うことになる けど たいてい真っ暗で何も見えないので ライトでフォーカス対象を照らしたり レーザーポインターでフォーカス対象を作ったりする。
絞り / F値
F値を大きくすると 光条(光の周囲に現れる筋 キラーン)が大きくギラギラして F値を小さくすると 光条が小さくなって静かになる。 なるべく 光っている場所を目立たせず 普通の地味なかんじにしたいので F値は5とか 小さくしていることが多い。
でも F値が小さいと シャープさが失われて ちょっと ぼやっとしちゃうので 上げられるときは 上げたい。 画面全体にピントが合っている シャキっとした 画面にしたい これは被写体によるかも。
まとめると 強い光源が近くに写り込むときはF値を下げて そうでない場合は上げるってしてる。 ほんとは F値の異なる画像をスタッキングで合成し 光は ふんわり 風景は シャッキリみたいに両立させると 一番 美しいとおもう。(光源の周囲だけ 低F値画像を ぬりぬりマスクするだけなので そんなに手間ではない)
露出 / RAW
白トビと 黒ツブレを防ぐため JPEGでなく RAWで撮る これは もう ほんと。 真っ白から 真っ黒までの幅が 倍くらい違う気がする。
カメラは ダイナミックレンジが広いものを選ぶ。 フルサイズセンサーのα7Cは最高で12evみたい。 前に使ってた APS-CのNEX-5は最高で9evだったけど 比べてみて 黒ツブレから復元できる階調や色の情報が すごく多くなってるかんじする!
露出は 暗め アンダーで撮る。 私は -1.0(暗い場所) ~ -2.7(すごく強く明るい光源がある場所) くらいで 撮ってる(-2.0以下に設定できないカメラのときは シャッタースピードを手動で調整してた)。
だいたいのカメラ ±0.0って 夜景に対する露出として「適正」じゃない ±0.0は JPEGなど 補正をしない場合の「適正」なんだとおもう。
露出 ±0.0から -3.0までで 駐車場の看板を撮り比べたもの 上段が そのまま現像したもの 下段が 同じくらいに見えるように補正をしたもの。 -3.0は 赤いPの字が くっきり見える シャドウ部分の復元も あまり違和感がない。 カメラの液晶プレビューに 白トビ警告(ゼブラ表示)が わずかに出てる くらいで 撮ると ちょうど良さそう。
明るい部分に優先して階調を割り当て 暗い部分を潰す。 人は 画面の中の暗い場所って あんまり見てないから 多少 不正確でも 気付かれづらい ノイズだって 簡単に除去できるし。
JPEGしか使えないカメラの場合は 露出を変えて撮影し HDR合成をしてもいい カメラ機能として付いてることも多そう。 露出を ずらしながら 複数枚自動で撮影する 露出ブラケット機能などを併用したり。
自動販売機など RAWでも どうしても 白トビしてしまうような やっかいな被写体は やっぱり スタッキング(またはHDR)で 合成するしかないとおもう。
極端に白飛びした部分がある場合は、RAWを露出を変えて現像して、アンダーな画像とノーマルな画像をPhotoshopのレイヤーを使って合成することもあります
現像 / 補正
私は 現像段階で 露出やシャドウを上げて 黒ツブレを だいぶ復元して 補正段階で トーンカーブを使って 今度は逆に 細かく黒に寄せていく というふうにやってる 上げて 下げて。 黒の部分に できるだけ 情報を残す 複雑な黒にする。(せっかく存在する情報を捨てるのは「もったいない」みたいな 貧乏な気持ちがあって 現場で見る以上に 暗い部分が見えてしまう写真になりがちなのは ちょっと 自分 だめかもとおもってる 「きれい」に 心が 負けちゃう>< 黒く つぶしきれない)
ノイズ軽減 輝度ノイズ 10%~20%程度 黒ツブレしていた部分の量に応じて 軽く行う。 量を増やしすぎると のっぺり コンピューターグラフィックスみたくなっちゃうから ほどほどで。
色温度は 最近 温かめにすることが多い 見たとき ふわっとした気持ちになるように ほんとは 錯覚で 青み掛かった黒が ほんとの黒に見えるということはあるけど。
曇天の時は 空が明るくマジェンタやオレンジっぽくなりやすい 晴天の方が 星も写ったりして コントラストのある きれいな画面になる。
都市から発せられる ナトリウムランプなどのオレンジ色の光を軽減させるために 星座を撮る人が使う「光害カットフィルター」みたいな商品あるけど たぶん 画面が暗くなり 全体が 単純に青み掛かっちゃうだけとおもう。 代わりに ソフトウェアのレンズフィルターで 水色(HSL(213/86/79)など オレンジ色を反転させたもの)を 暗部に強く掛けて 同様の補正をしたりする なるたけ お金を 掛けない。
LUT(フィルムエフェクトなど)は 夜景の場合 5% ~ 30%程度で 薄く掛けることが多い。 アスファルトやコンクリートの灰色などが 確実に かわいくなる。 LUTによるけど 強く掛けると 暗部の階調が つぶれてしまって 透明感が損なわれやすい 昼以上に 暗い部分が多いから。 うまくマッチして 不自然にならない場合は 強く掛けることもある。
明るく強い街灯の光が 漏れ入ってきてる部分は 楕円形に暗くしたりする。 複雑な形状の場合は 画像を反転させてマスクを作成する。 現場で その障害を 無意識に認識から除外していたらば 補正時に それを除去してもいいとおもう 嘘ではない 本当。
でかでかシリコンレンズフードを持ち歩いて 防いだりするのもありかも ガラス越しに撮影するときの反射防止にも使えるし。 私は かるく 手で遮ったりして済ましてるけど。
偽色修正 / プロシージャルテクスチャ
カメラにもよっても違うけど 夜の写真は 照明の色が 青や緑に変化してしまいがち LED照明とセンサーの相性の問題? 偽色(擬色)(フリンジやモアレを指して言うことが多い)。 偽色が 写真の中に残ってると すごく デジタル?写真っぽくなる ざわざわ 色が暴れて うるさくなっちゃう 夜は 静かなのに。 なので 写真を撮ったときに 元の色を観察して 印象を覚えておくのいい ふんわりした色だったな つめたい色だったな みたく。 こんなかんじの作業で 修正してる。
私の使ってる現像/補正ソフトウェア Affinity Photo には プロシージャルテクスチャという機能がある。 これは 全ピクセルのRGBA(色 + 透明度)を 入出力する 関数みたいなもの。 例えば RGBA(1, 1, 1, 1)(白)を 入力して RGBA(1, 0, 0, 1)(赤)が出力されたのなら 真っ白から グリーンとブルーを失くしして 真っ赤にしたということ、 RGBA(1, 1, 1, 0.5)が出力されたのなら 半透明にしたということ、 みたいな かんじ。 詳しくは この Daveさんの 解説ビデオへ。
この Dave's Hue Selection プロシージャルテクスチャ を 使って 特定の色を指定して範囲を抽出し 対象領域の彩度を下げたり ホワイトバランスを変えたりして 補正してる。 Middleで色を決めて Widthと Featheringで 範囲を拡げる。([サンプリングされたカラーを元に選択]や Photoshopの[色域選択]に 機能としては似てるけど プロシージャルテクスチャの方が 自由度が高く いいかんじに抽出できる。 [許容量]の計算元になってる 「類似」の概念モデルが 偽色や色かぶり除去という用途にマッチしてないんだとおもう)
Hue Selectionは 処理として かなり重いので 範囲が決まったら 普通のマスクに変換して軽くするのも あり ピクセルレイヤーに結合してしまったり。 RGBの偏っている部分を抽出する RGB Weighted Selection は より軽いので これを代わりに使ってもいい。
昼夜を問わず 非現実的になってしまった空の色を 変化させて戻すことも よくやる。 元の色は ファンタジー映画みたい。
車 三角コーン 標識 ブルーシート 発色が良くなりすぎて 彩度が高くなってしまった部分を きれいになりすぎてしまってる部分を Dave's Saturation Selection で 抽出し 彩度を下げることもある。 夜って 鈍くて 柔らかい と 私は 認識してる 他の人は どうかしら。
きれいな夜景
写真が 斜めに傾いてると 傾けて撮った人がいた という事実を 見る人が 意識する。 偽色があると これは写真なんだと 見る人が 意識する。
傾きを取り除いて ノイズを取り除いて 偽色を取り除いて 強い光条と光芒を取り除いて ブレとボケを取り除いて 写真の前に漂う霞を 撮った人を 透明にして 透明にして。 くっきり つやつやの 現実のような写真 と 見る人 が 直接的に 遭遇する それは 街を歩いてて 曲がり角を 曲がった 程度の出来事だけど そんなことが起こったとき その写真は きれいとおもう。