高知

sagan
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1日目

家を出て11時間後、やっと着いた。駅まで兄が迎えに来てくれた。周囲をドライブして家へ向かう。兄とは先日の弟の結婚式で会っているのでそこまで久しくもない。それがジャブになって、お互い気楽で良かった。

夕陽の大きさが関東と比べ物にならないくらい大きくて「夕陽デカ!?!?」と叫んだ。夕陽が有名な土地でもあるらしい。見慣れた太陽より一回り大きく、これでもし赤道近くの国まで行ったらどうなっちゃうんだ……とおののいた。大きく横たわって海に繋がる川をながめる。海沿いの普通道路を80km/hで走る。そう言えば兄はスピード狂だったなと思い出した。ここは兄の運転テクを信用するしかない。

とある海岸に降り立つと、柑橘のあまずっぱい香りがした。風情がありすぎるなと驚いた。少し離れたところにみかん畑があるのだが、普段はそんな香りはせず、風向きによってたまたま香ったらしい。「すごいところに来てしまったな」と思った。我々以外誰もいない。広く白い海岸、静かな波、真横で海産物を加工する工場の稼働音がする。


兄たちの住む町は漁港もたくさんあり、海と山の距離が近い。

「海の横にすぐ山がある」と言うのは、横浜や神戸や広島などよく聞く話だが、高知の山は海岸からいきなり高く、道も拓けていないので迫力がある。

食品、日用品、本屋など全てが集約された一階建のモールがあり、兄が「一ヶ所で全てが済み、駐車場が広いところが前住んでいたカリフォルニアと似ている」と言っていたことが印象的だった。平坦な道が多く、歩行者や自転車に乗る人も少なく、ところによっては駐車場に線も引いておらず好きに停められる。きっと、兄にとって関東はせせこましかったんだろうなと感じた。カリフォルニアでも高知でも、普通道路をスピードを上げて走ったとて問題ないだろう。

晩ご飯はとても豪勢だった。伊勢海老の刺身、鰹のタタキ、ブリカマ……義姉の料理は最高に美味しいことを知っているのでたらふく食べた。うすにごりの日本酒とハイボールを交互に飲んで酔って寝た。猫たちも可愛く、私に懐きはしないが姿を見せてくれただけ嬉しい。高知は辛口の日本酒があまりないらしく、飲んだものも「超辛口」と書いてあるけどそこまででもなかった。にしても全て美味しい。筍ご飯も最高。たけのこはほぼ食わず嫌いだったがこれで克服できた。

猫が3匹いるのだが、2匹とは面識があるもののやはりこちらの様子を伺っていて、初対面の残り1匹は明らかに警戒していた。私が2階へ上がると、逃げるように階段を何段もすっ飛ばして転がり落ちていく。明らかに肉がぶつかる音がするので心配していると義姉に「猫だから大丈夫でしょ」と言われる。それもそうか。

2日目

宇和島へ、地元の人も絶賛するという回転寿司を食べに行く。

「今朝獲れ、今朝〆」という文言とともに並ぶ寿司ネタがいくつもある。今朝……?いま11時だけど……?

鰹の刺身があった。タタキのように加熱調理されておらず、見た目はマグロのような赤身で食べるとするりと溶ける柔らかさ。鰹っぽくない。不思議だった。

上から2番目がカツオ、真ん中は鯛めしの軍艦バージョン。美味しい。

その後、宇和島城と寺を回る。宇和島城の天守閣に登った時、ときメモGS4のはばたき城天守閣デートを思い出していた。晴れていて気持ちがいい。やったね!バッチリ好印象!

帰り道、ドラッグストアに寄って酒を買う。義姉からおすすめのワインを教えてもらう。しっかり写真に収めたので今度買います。ちなみにハイボールにする時はカティサークが手ごろで美味しいと言われ、帰宅したその日に買った。


夕方に「黄色い桜が咲いてるすごい公園があるから行こう」と言われ、兄と行った。とにかくすごい!とハードルを上げてきたがその通り十分圧巻だった。しきりに「黄色い桜」と言うので「桜の花びらが黄色いってこと?」と聞くと「形はラッパみたい」と言う。じゃあ何で桜なのかと問うと「魚屋の奥さんが"黄色い桜"と呼んでいる」と言う。

調べたらブラジルの国花で「コガネノウゼン」「ブラジルの桜」と呼ばれているらしい。

正面から見ると桜で、横から見るとラッパだった。この公園も、到着すると花の香りがふわっとして感動した。コガネノウゼンは散ってしまっていたけど、木のふもとで綺麗に黄色く円を描いてそこかしこに植えられていた。グランピングの施設もある。海岸も近くにあるが、誰もいない。

海と山が壮大で、毎日驚いている。以前海について文章を書いたことがあるが、この景色を見てしまうと私の海描写はエアプです。普段も週一くらいで海を視界の端に捉えることはあるけど、高知は野生の海という感じがする。

義姉が台所で黙々と鯵の唐揚げときびなごの刺身を作っている姿を見ていた。

ラルフローレンのデニム素材のエプロンを一番細いところまで絞ってテキパキと動き、たまに猫たちへ茹でたカツオをやる(豪華〜)

義姉は本当に器用な人で、3歳上なだけだが私が逆立ちして3年経ってもそうはならんやろと思う。あと死ぬほど酒に強い。

兄に「これ効くよ」と言われ、木の棒を足の裏でごろごろと踏み転がす。痛い。ゴルフボールも渡され、同様にぐりぐり踏む。効いてる気がする。

ご飯は全部美味しかった。この日は飲みすぎないよう気をつけて、ほどほどにした。翌日に沈下橋を見に行くというので、youtubeで沈下橋を映している動画をいくつか見た。実は去年、しーことあきおっちと見に行ったのだがそれを伝えそびれた。「四万十川の屋形船を予約したんだけど、私は二日酔いがひどすぎて車の中で待ってて友達だけ乗ってた」とは伝えていたが……。

で、「仁淀ブルー」という澄んだ川の映像が流れて「か、神クズ☆アイドルの仁淀くんのメンカラがブルーってここから来てたの!?!?」と一人で興奮した。肘樹さん(いそふらぼん先生)確かに愛媛出身だもんな……。は~ひとつ賢くなった。

3日目

朝、布団の中で携帯をいじっていると猫がスッとやって来た。「おはよ〜♡」と言うとふいと去ってしまった。ラブ……。

兄と一緒に朝の散歩へ行く。初日のドライブ中に「この道を朝の散歩で義姉と歩いてるんだ」と言っていたので、朝の散歩ええなあと思い、ねだって歩いた。自然の養蜂箱(と言うのか?箱である時点で人工的か?)を教えてもらったり、漁港のコンクリに染みている黒いものはイカの墨だよと言われたり、ここは海抜0mだから津波が来たら終わりだよ、若者はみんな海抜から高い所に家を建てていてそこは港南台(神奈川にもある地名)と呼ぶんだよ。と聞きながら歩いた。汗もかかず、寒くもなく、人は通らないけれど人が敷いたであろうコンクリートの道を歩く。たまに人とすれ違い、おはようございますと声を掛けあう。

鶯がよく鳴いていて、それがフリー音源か?というくらい完璧で「ホー・・・ホケキョ ピョロロロロロケキョケキョケキョ」を何回も聞けた。牛沢のエンドカードが脳内で何回も浮かんだ。

私は話し出すと一から百まで言いたくなるので長い。

一旦ここまで。

@sagan
きまま