後日、俯瞰的に捉えれば一生のうちの些細な波風に過ぎない出来事が、それが起きた日の内では、人生が破滅するのではないかという程の重大事案としか捉えられなかったりする。一応、日を経れば徐々に薄まってはいくのだが、そんな緩い緩い経過的解決に取り敢えず身を任せるだけの余裕はとてもじゃないが持てないので、少なくともその日のうちは精神的に地獄なのだ。
今日もまたそういう日だった。当の出来事は意識による統制を無視してエグいくらいに反芻される。そのたびに人格が傾いでいく気さえする。明日俺は殺されるのではないか……ぐらいの気の持ちようでしか居られなかった。運転中、唐突に擬音語にもし難いような奇声を発してしまった。ごく稀に、おかしくなってしまったんじゃないかと思われてくるような人の瞬間を目にすることがあるが、その人ももしかすると、営為上のミスをしてしまって、反芻しては煩悶していたのかもしれない。今日もお疲れ様でした、ということで。