私達に足りないものに、何があるでしょうか。例えば無駄としか思えない程広過ぎる駐車場が、なぜこの広さであつらえられたのかを想像してみる潜水力だろうか。あるいは、無駄は無駄だとしても詩的か何かどこかの領域においては無駄ではないと思い至る感知力だろうか。物に触れ地に踏み込めばすぐ無駄だと断定したくなる時世にあって、最も無駄なのは資本的にたかだか何十億のうちの一人でしかない無成績の己と思いたくなる時世にあって、いっそ振り切れて、この無駄に広い駐車場そのもののように、無駄であることを矜持に置換して、踊り狂いましょうよ、兄さん。俺等には足りないものばかりだがそういう力を秘めているはずだ。