今ではあまり、いやほとんど見なくなったけど、ほらあの当時って、作品やキャラへの愛から、ちょっと紹介文でイジリを入れたり、可愛がる文化があったじゃないですか。アンジェのラブ通とかでも、天下のオスカー様ですら結構いじられた表現見るのは割と普通だった。レポとか特に。あれだと思った。ブラコンっていうのは比喩だと。ちなみにその紹介文は「ブラコン?( ̄▽ ̄;)」くらいの優しい書かれ方をしていたとおもう。記憶の中の話なのでいろいろとあやふや。
頭の中、?がたくさん浮かんだ。でもだんだん、ほんとにそうなんじゃないかと思えてきて。あんなに強くて、かっこよくて、真面目で天然なアサちゃんのお兄さんになるためには(※事実と思考が逆)、並みのスペックじゃいられない。だって、子は父を、弟は兄を、いずれ越えていく。それがヒーロー界隈での父子兄弟の役割だもの。越えるべき存在であるはず。だけど、こんなに可愛いもかっこいいも完璧なアサを今現在の時点で上回るキャラクターなんて無理じゃないかと思った。私の中でアサはまじで完全にして完璧だったから。だから逆に、この兄はネタ枠なのではないかと勘繰った。お兄ちゃんぽくない放浪癖のある問題児とか、超奔放兄貴系とか、そういう類のキャラかなと思った。そういうキャラは大好きです。
でも同時にそんな考えとは裏腹に、私のこんな想像なんかぶっ飛ばしてとんでもないハイスペックの持ち主であれ、とも期待していた。いや、そうであって欲しいと祈っていた。アサの兄だからやっぱり真面目さは欲しい。それもとびきりのやつ。アサちゃんの良いところも悪いところも全部煮凝りして水分吹飛ばした保存食のような極端なやつ。そうでなければアの兄でいてはいかんのだ。そうでなければアの兄を名乗る資格なし。とにかく当時の私にとってアの存在があまりにデカく、夢を見ていて、いや夢見てとかではなく実際にアはなにもかもすごくて、かっこよくてかわいくて、そんなアを上回るかもしれない人物の登場に胸が高鳴った。(さっきから何を言ってるんだ?と思われる方はアニメを全話見てくださいアが最高ですお願いします!)
実はエジプト文明を作り上げたのは人類ではなく第一文明でした!という事実が科学的根拠を添えられて提示されたかのようなお祭り騒ぎだった。
もう私の頭の中は、まだ見ぬアサの兄を何十通りかパターンを想像して唸っていた。
ブラコン?という情報のもと、現段階の姿、役割は不明だったので気持ちを切り替えて幼少期を想像した。ア、可愛かっただろうなあ。わかるよ。可愛かっただろうなあ。大事にしたんだろうなあ。だからアはあんなに真っ直ぐお育ちになられたのね…などと勝手に想像させていただいた。
どうやら漫画版の続編で描かれているらしい(正確には玩具ラインでの展開であり、ボンボン誌上でのグラビア情報を漫画版ラインだと勘違いした)…ので、自然とビジュアルは漫画版が浮かんだ。アサの兄なので、髪の色は薄いのかしら、水色(作者様によるとアの髪は「透けるような銀髪」)なのかしら、などと考えるとワクワクが止まらなかった。これ以上のネット検索は親に経済的負担をかけるので切り上げ、一日に少しずつ行った。兄の名前がゼットというらしいこともわかった。アーサーはArthur。兄はゼットでZの頭文字。良すぎる…。Z→Aの流れ、最高だった。この発見(?)以降、私は当時箸が転げても萌える心の元気な若者だったため、「A to Z」とかの語句を見るたびに興奮する体質になってしまった。この名前のセット、実に良い。兄の世代でひとつの時代が終わり、アから新しい時代が始まる雰囲気もあってとてもいい。つまり兄は前時代の人間なのだ。
私の一番好きな回であるアニメ版の第46話「滅亡の記憶・とらわれた心」ではアサたちがそれぞれミク口アース滅亡の際に受けた傷について語られている。おそらくアニメ版ではミク口アース滅亡はかなりいにしえのできごとのようだったし、その時アサはまだ新人で、故郷を守れなかった、役に立てなかった、と後悔の念を抱えて現在を生きているようだった。
(追記:「滅亡の記憶〜」では、物語最終決戦に突入した超緊迫のストーリーの中で、敵から「自分のトラウマ幻覚トラップ」を仕掛けられる。トラウマトラップは自分だけにしか見えず、故郷滅亡のあの日の後悔を延々と見せつけられるというもので、本人は錯乱、見ている周りは混乱。チーム全員かかる。オタクホイホイである。ありがとうございました…あの回のおかげで、故郷を失った戦士たちの悲哀にかなりの奥行きと現実感が出て、私の沼をより深いものにした。個人的に、中でもチーム最年長でいつも落ち着いていた精神の支柱、オーディーンすら錯乱して叫び転がる姿は特に胸をえぐった。当然これまでにそんな姿見たことなかった。そしてミクロアースの地名が出てくる、資料的にもありがたすぎる回なのである)
アサが未熟だったその時代に、兄はジャスト世代で生きていたのだと思う。
そして名前がわかれば発掘作業はだいぶ捗るのである。いや、普通最初に名前を知るのではないか?名前にたどり着くまではたぶん一瞬の出来事であったのだろうが、私の脳内ではめちゃくちゃにいろいろと考えた後だったので、名前を見た時のアドレナリンがすごかった。
地道な発掘作業をしながらネットの海を時間をかけて(※読み込み時間の長さ)探索していると、「行方不明」の文字が目にハイライトで飛び込んできた。
アーサーをかばったのは、行方不明だった彼の兄、ゼットだったのだ。彼は自分の兜をアーサーに託すと息絶えた。
みたいなことがサラっと書かれていた。
おーーーーーーーい!
いっぺんに!
与える情報量が!
情報量が多すぎるっっっっっっっ!!!!!!!!!!!
(つづく)