2月29日(木)
昨日いい中古車を見つけたので急遽午後に有給休暇を取り職場を飛び出す。彼女と合流して中古車販売店に向かう。
初めての自分の車。初めての自動車ローン。残クレってやつは正直よく分からない。支払う金利の総額では有利だったので、ちょっと高額なiPhoneだと思うことにする。
起伏のない人生、だとしても金は要る。給料貰って働くようになってそろそろ10年だけど、早くも人生の天井みたいなものが見えている気がする。
3月6日(水)
仕事終わり、職場の同僚に誘われてサウナに行く。なんでも最近引っ越してきた家の近くにおすすめの銭湯があるらしい。入口の「おふろやさん」と書かれた暖簾がかわいい。写真、撮ればよかったな。
銭湯の最寄駅は今の家から地下鉄で3駅先。地下鉄の3つ先の駅なんてどうってこともない距離だと思っていたけれど、こんなところに銭湯があるなんて全然知らなかった。知っていると思っていた街でも、知らないことはまだまだたくさんある。
来週、私は4年間住んだ今の街を離れる。考えてみたら、4年も住んだはずなのに、私にはよく行く銭湯とか行きつけの定食屋さんとかいつも花を買う花屋さんとか、そういうものがない。美味しい居酒屋くらいは数軒知ってるけど、それも足繁く通ったわけじゃない。そのことがもったいないと感じた帰り道、吹き抜ける風が思いの外冷たくてすっかり湯冷めしてしまった。
3月9日(土)
カメラ友達と集まって写真を撮り歩いた日。撮れ高みたいなものがなくても、こうして過ごす時間そのものが楽しい。
すっかり陽が落ちた夕方、解散の前にみんなで立ち寄った居酒屋がとても渋かった。昭和のサラリーマンが仕事終わりに一杯引っ掛けていくような、そんな雰囲気の居酒屋。自分だけだったら絶対に入っていない。
昔ながらの民宿みたいな玄関から2階に上がると、そこには和室に座卓が2つ。田舎のおじいちゃんの家みたいな空間に腰を下ろして待っていると、山のような量の串と焼き鳥が次々運ばれてくる。大皿に山盛りにされた漬物なんて初めて見た。しかも、店だけでも愉快だったのに、後から残りの座卓にやってきた3人組のお客さんと会話が始まってからは久しぶりにゲラゲラ笑ってしまった。
きっと長いであろう生きている時間の中で、ほんの一瞬すれ違った知らない人。こういうのを一期一会と言うんだろう。今日楽しかったらそれでいい。二度と会うことはないかもしれないし、別にそれで困ることや悲しいことはない。そう分かっているのに、こういう刹那的なものにはいつも心をかき乱されてしまう。