WEBで検索すると、「自閉症スペクトラム」とか「自閉スペクトラム症」やらと、色々言い方が散見されるが、どうやら医療系サイトでは「自閉スペクトラム症」の方で書いてある。新しいカテゴリーなので、ミスリードが多いのかな。
まあ、それはともかくとして。
自閉スペクトラム症って、実はすごく大きな括りなんだよね。
かつては「自閉症」「アスペルガー症候群」という別の病気だった。
「自閉症」とは、誤解を恐れずに言うならば、いわゆる世間のイメージの中での発達障害の人の様子がコレに当たるのだろう。一方で言語は他の人同様に操れるけれど、それ以外のコミュニケーション面で障害が出てくる人が「アスペルガー症候群」なわけである。
それがいつやら「自閉症とアスペルガー症候群ってつながっているよね?」となって、「二つを同じ病気として考えよう」ということで、「自閉スペクトラム症」という病名がついたわけだ。
かつてのカテゴリー分けだと、兄は「アスペルガー症候群」に当たるのだろう。だがまあ確かに、兄にも「自閉症」の症状がないわけではないかな。異様にデカい独り言とか、同じフレーズを何度も繰り返しがちなところとか。誰かと電話している勢いで独り言を言うものね。お寺とか神社とかでお経や祝詞をあげてもらっている、静かにしていなければいけない場であっても、けっこうな声量で独り言を言っている。
あと、我慢が異様に効かないという意味では、衝動性のADHDもあるだろう。なにしろ現在進行形で病気で自分が苦しんでいるのに、それでも医者から「病気の治療のためにコレコレをしないでください」という禁止指示を我慢できない。そういう大きな時間軸ではなくても、兄は基本的に自分の行動を遮られることをすごく嫌う。スペクトラムには依存傾向があるから、それと衝動性が重なっている気もするけれど。
いわゆる「発達障害」という括りで語られる病気が併発するのが自閉スペクトラム症らしいが、兄を見ていると「なるほど」と納得だ。
ただ世間のイメージでは、変な言い方だけれど「コテコテの自閉症患者」のみを指して「発達障害」だと考えがちで、こうした「生活に支障はそうあるわけではないけれど、周囲は振り回されて地味に困っている」程度の障害を、「この程度は、たんなる『そういう性格』なのでは?」と考えてしまう。
あるいは、考えたくなるのだ。
けれど、性格やら努力やらでは片付けられないくらいに、本気で生活に困ってくるので、そういう偏見をなくして、例えば「花粉症」やら「アトピー」やらと同じレベルで語れるようになると、多くの人の人生が楽になると思うのであった。