美容室、考えてみるといやに硬い呼び名のままこの時代までそう呼ばれているなと思う。ファッションの最先端を行く業種の、おっしゃれな店舗なのに、いまだに「金曜の午後はヘアサロンにカットをしに行く」という人は少ないだろう。少なくともわたしの周囲は、多少のファッショニスタでも「美容室で髪切ってくる」ものだ。
そもそも美容室はヘアサロンではなくビューティーサロンと呼ぶのが本来なのに、カタカナ表記の長さがよくないのか一向に使われない。ビューティーって、なんだか胡散臭いからかもしれない。
半年前に見つけた新しいサロンへの乗り換えは、なかなかスムーズにいった。これまで長いこと通っていた店には、カットの上手な店長がいて、内装もピカッとシュッとしていたのだが、この店長の経営論や知ったかトークに少し疲れてきていたところに、普段と違うオーダーをしたいと思ったのが通らなくて、それを機に離れてしまった。
その店へは、ずっと通うつもりでいたし、簡単に乗り換えることなど想像していなかったのが、気づけば新しい店で、まるで別キャラの店長と、経営やキャリア設計について話している。やっぱり経営の話をしている。
美容師さん(これも昔ながらの呼び名。ビューティシャン、って言いにくいからだろうか)には、質問上手な人と話し上手な人とがいて、これは天性のものなのか、練習の賜物なのか。
乗り換え前のダンディ店長は一見質問上手ながら、気付くと話を全部持っていってしまうことがよくあったっけ。
その点、新しい店の店長はバランスがいい。気持ちよく話し、程よく質問をしてくれる。私も今のところは楽しく話し、かつ聞けているので、なかなかよい関係だ。