赤身の肉

sakra
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初夢を見た。このところ新しい記憶はほとんど残らない私なので、7日の明け方になってようやくの初夢だ。書き留めておこう。

何かのパーティで、立食ビュッフェに来ている。室内は真っ白で、一般会場の並びに、おいしい生肉ばかりがずらりとのせられた白い皿の並ぶコーナーがあった。特別な客向けのスペースらしく、特に高級な肉を取ることができるようになっていて、セレブらしい正装をした男女が、真っ白な皿に盛られた薄切りの肉を取りながら談笑している。

通りすがりを装った私は、そこにするっと紛れ込み、さりげなく下段の隅の皿から、三角にぽってりとした豚肉の赤身を2枚取って、すっと立ち去る。恐らく並んだうちでは安いものにした。安いよな、豚肉で、しかも赤身だもの。

見えないようにあくまでそっと、紙だかビニールだかにはさんで、誰にも気付かれない絶妙さで隠す私。誰にも気づかれていないと思ったのに、案の定誰かが見ていたらしく、疑いを晴らすために即興で大喜利をしてみせる私。

内心はものすごい葛藤だ。バレているはずはない、うまくやったはず。いいえむしろこれでバレてないわけない。いや私のエンタメ力で押し切れるはずだ、だって言うても豚肉だし、赤身だし、そもそも自分が食べるためじゃないし、余興代っていうかこのくらいは

必死の芸はそれなりにウケて、難を逃れた。たぶん真相を分かっている人はいたが、気の毒半分で見逃されたのだろう。こうしてその場を切り抜け、私は元通り、一般客として会場へ戻ることができた。

立食の丸いテーブルに、後輩が2人と友人が1人待っていた。まだポケットに忍ばせていた肉を、話を聞くふりをしながらさりげなく荷物に紛れ込ませる。あくまでさりげなく。後輩の1人に小声で「やっぱり…」と見咎められた。

言い訳を始めると、他の2人も加わって、4人でテーブルの下に屈んで話し始めたところまでで、記憶はおぼろになっている。