おまえ…!ニット帽か…!

saku2
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今日の学校の帰り道。

帰路の間にある植木?があったんだけども

そこの枝にニット帽が綺麗にさしてあった。

うす橙の優しい色。そしてふわふわとしたぽんぽん。

はっ、これはきっと…ただの忘れ物ではない…!!

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きっと大正時代の後半あたり??、二人のそれぞれうす橙色、黒色のニット帽を被った 少女がいて、いつもここを待ち合わせにしていた。連絡手段がそれほど普及していない場所だからである。毎日ここに会い、原っぱにでも遊びに行く。だが、うす橙色の方は実は持病があり、最近良くなっていて街を散歩することができていたため、黒色の方と知り合えたのだ。そして、ある日を境にうす橙は来なくなってしまった。でも黒色はずっと待った。日が暮れるまで待った。門限を過ぎると身内から手を出されてしまう。それはうす橙も知っているため、許してくれるはず…。また毎日それを繰り返していったが、うす橙は来なかった。彼女は病に侵されているそぶりは見せなかったため黒色は別れの挨拶も「またね」しか言えていなかった。そしてまた何度でも言えると思っていたのだ。なので、黒色は「もう会えない、失望されてしまった。」と思い、帰宅時間と門限の差は後ろに開いていき、親には褒められることが増えていった。そして親に無理に埋められた穴からの隙間風にあおられながらあたりを散歩していた時に、視線が笑顔の輝く人々の隙間を吹き抜けていった先に一瞬だけ見えた、やつれていて車椅子に乗ったまだかぶっていたうす橙のニット帽の少女が見えたのは多分気のせい。そしてまた彼女を思い出して、待ち合わせに行ってみることにした。よほどぼうっとしていたのか遠出していて、待ち合わせに着く頃はもう黄昏時。でも彼女のことはありありと思い出せる。やっと着いた待ち合わせ場所。素朴で花すら咲いていないただの植木。対照的に思い出の詰まった植木。息の切れる中朧げに見えてきた。それは、枝先に差し込まれたうす橙のニット帽。それを手に取ると、声には絶対に出せない気持ちが穴から湧き出ていく気がした。なぜか流れだす涙は、ニット帽でしか拭くものがないんだ。

それからもずっと、ずっと彼女には会えなかった。時が流れていくごとに変わっていく景色には、なんだかもやもやした。そして、そろそろ自分も会いにいく頃合いだろう。きっとこれは、彼女と同じ気持ち。誰かが「誰かのいたずらだ!」と言って捨てられてもよい。その気持ちで、ニット帽を枝先に添えた。これが、彼女に届くように…

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ハッッッ!!あ、我に帰りました。めちゃめちゃでした。オワリ!

@saku2
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