富山県の黒部峡谷宇奈月温泉への旅行。富山の名産品と日本酒に惹かれての旅行ではあったが、能登半島地震とは決して無縁ではない。私たち夫婦なりの復興支援の意思表示でもあった。
復興支援には色々な方法がある。ボランティア、募金(義援金)、アンテナショップでの名産品購入…。私たち夫婦も、微力ながら各種義援金に託してもいるが、今回、旅行を選んだ理由。
それは、「背伸びしないウィン・ウィンの支援」が私たち夫婦に合っているから。
他の方法を考えてみる。
まず、ボランティア。現地に迷惑をかけない自己完結が大前提の支援は、体力的、精神的、時間的にどうしても限界がある。かえって迷惑をかける。それゆえ却下。
次に、募金、義援金。ベターではあるが、ベストではない。私自身、東日本大震災で水戸にて多少なりとも被災した。その際、全国からの支援は有り難かったものの、恐縮した。こちらは受け取るだけ。何か恩返しできないものか……そんなもどかしい思いもあった。
そこで、旅行。現地で直接、サービスや名産品の提供を受け、その対価として支払ができる。現地の方々との交流も持てる。いわば現地でのボランティアと募金(義援金)のハイブリッド型支援と私は捉えている。
支援において大切にしている事。それは、「背伸び」しないこと。そして、お互いに何かを出し合うこと。息の長い支援は、無理なくマイペースに続けることが肝要だし、双方向で提供し合えば、提供した方には張り合いが、提供を受けた方には対価に見合う満足感がそれぞれ得られる。
では、そもそも、なぜ支援をするのか。単に「困った時はお互い様」だけではない。東日本大震災で受けた支援の恩返し、恩送りをしたい。決して忘れられない恩義。その有り難さが根底にある。
ただ、堅苦しい恩返し、恩送りは苦手なので、どうせなら、自分たちも楽しむ。そこに「背伸びしないウィン・ウィンの支援」の意思表示が形となって表れる。
なお、石川県ではなく、富山県を選んだ理由は、関東在住の私たち夫婦には石川県の情報はニュース等で多く入ってきたが、富山県に関する情報は少なく、「見えざる被災地」のように思えたから。東日本大震災の時の茨城県のように。
別に、私たち夫婦のやり方が正解とか模範解答とか言うつもりはない。不器用かもしれないけど、こういう意思表示の方法もあるのだと示したかった。
災害は、他人事ではなく自分事。だから、自分達なりの意思表示を、これからも模索していきたい。
【了】