改めてしずかなインターネットのUI、とても良い。不思議と日記が続く。
『異邦人は君ヶ代丸に乗って』を読了。大阪に在日コリアンが多いのは尼崎汽船(と朝鮮郵船など諸々)が済州島-大阪間航路を運航していたからだ。数年前まではその事実を知らず、あるいは大阪の「移民」のモザイク都市っぷりなど知りもしなかった。都市としての大阪、めっちゃ気になるわな。
日本に来て一番最初に食べたうどんがあまりに美味かった、という証言が複数掲載されている。故郷が貧しくて、米が無くてアワがちょっとあって、だから故郷を脱出して日本で稼ぐしかないのだが、そもそも故郷が貧しくなった一因が日本の政策にある、という限りない循環の輪(わ)を、君が代丸に乗って済州島民はたゆたう。『越境する民』にもあるが「君が代丸」とその名前への愛憎というか屈折した感情というかが彼らにはあり、あらゆるものをもたらした船としてそこに浮かんでいる君が代丸があり、正確には第二君が代丸なんだろうが、やはり気になる船だ。
巡査が朝鮮市場への嫌がらせの手段として干物などの商品に水をぶっかけに来る、という話が収録されていて、海保さんには大変大変申し訳ないのだが、例の「北朝鮮の違法漁船を巡視船の放水で台無しにして撃退する戦法」を彷彿とさせてしまった。すみません……。干物に水、つらい。

「猪飼野は臭い、という印象があるが、それは朝鮮人の街だとかニンニクの匂いとかではなくて、豚の骨を削って雑貨品を作っているから」という指摘に感慨深くなった。正直に言ってしまうと……ニンニク料理を当てこすって日本人が嫌がらせで彼らを「臭い」と罵倒しているのだろうか、という先入観というか認識しかなかった。
ただ実際、"それは朝鮮人の街だとかニンニクの匂いとかではなくて"と証言者の在日コリアンの男性が断っているのを見ると、その類の悪口がやはりあったのではないだろうか。仔細を調べないとこうしたものは分からない。引き続き本を読んでいく。
夜。絵を加筆。日朝航路本を6月のコミティアで出そうと思ったが、9月に回すかもしれない。夜なべで作るには知識がないし、なにより勿体ないと感じる。
コミティアのジャンル「歴史」が「歴史・時代もの」になったようだ。 個人的に「歴史」「時代もの」そして「歴史創作」カテゴリでは微妙に内容が異なると感じているので、よりおおきな枠組みの名前になったのは単純に有難い。
具体的に言うと「歴史創作」は実在の歴史人物をモチーフに創作しているイメージがあるが、『あれよ星屑』『この世界の片隅に』みたいなものも"歴史での創作"ではないか、と思っている。だが歴史創作と呼んでいる人をあまり見ない。どちらかというとこれらは時代ものなんだろうか、その種の定義の違いというか。
公式サイトでのジャンル変更の告知に、「いわゆる「歴史創作」」「「時代もの」という言葉もニュアンスが難しいので悩ましかった」、みたいな逡巡が書かれているのを見て「コミティア実行委員会の中の人に絶対歴史創作者おるやろ…」と思う。この問いとまなざしの繊細さは好感を持つ。6月が楽しみ。