昔から行ってるつけ麺屋で昼食。メイドみたいな喋り方の店員さんがいた。この店は定期的にこういう人を採るなあ、と思う。この店に通い始めた頃もいた。他の店員さんはとっぽい感じの女の子が多いので、浮いてるなあと思っていたら、なんか傍目にもわかるぐらい次第に疎まれていき、元いた本店ではなく支店でしか見かけなくなった。数年も前のことで、今は支店にもいないけど、元気にやっていらっしゃるだろうか。新しく入った彼女は同じ轍を踏まないでほしい。俺がこの店の歴史を記述する役目に預かったとしたら、「メイド的スタッフの系譜」という章は絶対に設けたいな、とか妄想。
今日もいつもと同じメニューを注文したが、チャーシューが安っぽくなっていて、世知辛かった。この前、支店でも同じことがあって、ただ支店はわりと味にブレがあるから、そういうものと思い込んでいた。まあ、仕方ない。
世知辛いというと、提携コインパーキングのサービス券も、昔は食事をしたら無条件で貰えていたのが、今は会計が1500円以上でないと貰えなくなった。今回の俺の会計は1400円だったのだが、何円以上だったかを覚えていなくて、レジで例のメイド系店員さんに改めて聞き、ああダメか、となった。しかし彼女が、お釣りを渡す時、一緒にこっそりサービス券も握らせてくれた。柔らかい手で俺の手を包み、今回は、と声を潜めて、微笑みかける。こちらも声を潜めて礼を言い、そそくさと退店した。
コインパーキングまで歩きながら、浮かれている自分に気づいた。俺って未だにこんなことで浮かれるんだな、と情けなくなりながらも足取りがわずかに弾むのを如何ともしがたい。ちょろいやつである。精算機で、駐車番号のボタンを押して、サービス券で支払いを済ませる。思っていたより時間が経っていなくて、サービス券1枚でちょうどだった。チャーシューが安っぽくなっていたのとかもどこへやら、朗らかな気分で車のドアを開けようとするが、開かない。あれ、と困惑し、別の車だと気づいた。折角のサービス券で、他人の駐車料金を払ってしまった。浮かれすぎていた。