以下、年末に書いて下書きになったままだった文章です。こんな生煮えの文章をなぜ他人の目に触れさせたいのか。仮にも公の場に投げる必要がどこにあるのか。自分でもわかりません。プチマゾ体験なのか。まあそんなわけで、よかったら読んでください。
--------------------
中津から梅田にかけて歩いた。都会を徘徊するの久々でちょっと自分でも抑えられないほどハイテンションになってた。一人でぶつぶつ喋ってた。一人でぶつぶつ喋ってる人って自覚あるんだ、と思った。
まずは腹ごしらえ。井之頭五郎ごっこができそうな店で夕食。ハンバーグに本来乗ってる卵を、アレルギーなので取り除いてもらったんだけど、カウンターの隣のお客さん見てたら切り干し大根じゃなくて小さい出汁巻きがセットに付いていて、ここ俺が来るべき店ではなかったのではと思った。
食後のコーヒー。コンビニのコーヒーのカップ、ちゃんとはめられないことのほうが多い。
タワマンから街を見下ろして飲むコーヒーって違法指定スレスレぐらい美味しいんだろうけど、他人のタワマン見上げながら飲むコーヒーも美味しいので、タワマンはじゃんじゃん建つべきだと思った。この写真撮ってたら、兄ちゃん2人組がくすくす笑ってこちらを見ながら隣を通り過ぎていった。タワマン見ながらのコーヒーって最高だよねと握手したかったので、直接話しかけてほしかった。
ちなみに最近、紙タバコから電子タバコへ切り替えた。ここしばらく吸っていて思うのは、危険な火種を剥き出しにして、草を燃やした煙を吸っては吐き出す紙タバコが、とても野蛮なものに感じられてくるということだ。斯様に人間の感性をひどく窮屈にするので、電子タバコはかなり良くないと思う。あんまり美味しくないので、禁煙の前段階にできるかと思い、吸い続けているけれども。
そこいらのサイバーパンクが裸足で逃げ出すレベルに格好いい中津陸橋下。多少のブレはご勘弁。一人で喋るのを抑えられないんだから手ブレを抑えられるわけない。
頭上では轟々と電車の走る音がして、びくともしない無骨な鉄骨の建造物が薄暗い路地を取り囲んでいて、遠くにはスカイビルの光がきらめいて。ヤバい。ヤバいとしか言いようがない。
うめきた。資本主義が「わからせ」てくる美しい街。こんなところでサラリーマンをやってる未来を信じて疑わなかった頃が俺にもありました。なんであったんだろう。アホだな。
スカイビルの映画館には色々と思い出があって、中学生の頃、はじめてデートで映画を見に来たりした。上映までの時間をかなり持て余した。ビルしかないこんな街になんで人間が溢れてるんだと不思議だった。タイムスリップして、ここはお前のような田舎者の中学生が遊べるところではないと諭してあげたい。
高校生の頃、あの花の映画を見に来たこともあった。号泣に次ぐ号泣の後、目を赤くしながらシアターを出たら、同級生とばったり出くわした。軽音学部に入っている、きらきらしたカップルである。かたやこちらは一人でアニメを見て号泣した直後である。感傷的な気分から一気に現実に引き戻された瞬間であった。
こうやって書いてるとロクな思い出がないな。なんで俺はうめきたがこんなに好きなんだろう。マゾなのか? 人生で最後に行ったロックバンドのライブもこの辺りの箱だった。ボーカルがめちゃくちゃ「あがれー!!」みたいなノリなんだけど、俺はそういうの絶対にできないから棒立ちで、段々申し訳ないような気持ちになり、二度とあがらせる系ライブには行くまいと誓ったのだった。
そういえばドミ&jd・ベックの来日公演がもうすぐその箱であるはずだ。因縁の場所とはいえジャズだし行こうかなと思ったけど、チケットが8800円でそもそも俺に関係ない話だった。オールスタンディング8800円ですよ。よしんば行ったとしても「やってしまった」感で楽しむ余裕ねえよ。
グランフロント大阪のフードコート。たぶんグランフロント大阪。梅田って自分がどのビルにいるかわからなくなる。
ショッピングビルに入ってる各テナントが、それぞれ季節に合わせた(恐らく)特別なメニューの提供をしていて、しかもそれをイベント的に打ち出してるってことに新鮮味。しかもやたら洒落てるし。こんなプロジェクト動かす仕事楽しいだろうなあと妄想。モールのブランディングの一端を担うって凄いことだ。モールという街じみた空間の、人の動きを「編集」するような。
仕事ってはたから無責任に眺めるだけなら全部楽しそうだ。責任を持って遂行するとなると全部楽しくないのに。
無印良品の中に団地あった。玄関に平野ノラのサインもあった。なんで?
本がやたら並んでいる一角があった。京阪神に関わりがあるという共通点で選出されたっぽい、デザイナーや飲食店経営者など多分野のクリエイター?インフルエンサー?オシャレビト?たちが勧める本の数々。面白そうな本が多くて片っ端から見て回った。『アルネのつくり方』『バーの主人がこっそり教えるおつまみサンド』などが気になる。
無印の服も色々見る。手袋が欲しかったけど、見つけられず。コートも探していて、あったけど、高かった。コートって高いんだね、知らなかったよ。
このあいだ買った「首のチクチクしない」という触れ込みのタートルセーターが本当にチクチクしなくて、もう服は全て無印で揃えたい気持ちになっている。
無印系男子とやらになりたい。それがなんなのかもよくわかっていないけど、とにかく人畜無害っぽくて良い。それで近所の無印をうろうろしている時にそのセーターを見つけたのだった。無印系男子への憧れはつい最近の思いつきだけど、タートルセーターには昔から憧れ続けて、しかし肌の弱さから断念してきた。タートルセーターって、ちょっとキザな感じしませんか。で、たまにキザなことってしたくなりませんか。
すぐに手に取って、試着室に駆け込んだ。もぞもぞと袖を通す。鏡の前に現れたのは、乳首が浮くぐらいピチピチの布に包まれた肉の塊だった。
なんだこれ、と思った。これが無印系男子というやつなのか、いやそんなわけはない。無印系男子の第一条件は太っていないことだと、その時はじめて知った。
とにかく買って帰った。毎日のように着ている。ケッタイなシルエットの生き物になっている。
しかしそれでも、キザ感があるのが、面白い。太った男の似合っていないキザというのは、恐らくこの世で最も他人を困惑させる。ほとんどテロのようなものである。これがちょっと楽しい。
こういう気持ちをダンディズムと呼ぶのだろうか。とかなんとか言ってないで、痩せろ、という話に尽きる。それはそう。酒をやめて半年が過ぎたのに、体調にも体型にもこれと言って変化を感じない。
そんなことを考えていると、もう飲んでやろうかという気が起こることもあるのだが、そのたびにこれまで重ねてきた酒の失敗を思い出す。そしてなかなかの死にたさに襲われ、まだまだ禁酒できそうだ、いや禁酒させてください、という気持ちになる。