水葬ノスタルジア

水面に映る君の影を見てる

揺蕩うそれを笑うように風は吹き

掻き消えてしまいそうなゆらいだ心を

大事に大事に繋ぎ止めている

揺れている残像が目の前で繰り返している

錨を下ろしても止まってはくれない

夕暮れは潮風を運び私を崩そうとする

ああ このままきっと

海の底はつめたく、あたたかい

海の深くから聞こえるあの声

忘れていた音色

青いゆらめき

光が君をさらった

ゆらゆら揺れる僕を残して

このままそちらへ連れて行っておくれよ

人魚の歌声は聞こえてこない

波の音を聞き続けるよ

砂はやがて身を削り丸く戻れないあの日々はぼやけていく

今はもう戻れはしない夏を

愛していたと言える日がきてしまった

過去形の今を抱えて生きていく

海風は未だそばにある

遠く離れた手を思い

新しい夏がまたすぐそこへ来ている

@sanekawawa
日記や詩を書きます