結論
名探偵コナン100万ドルの五稜星を見て欲しい。 青山先生の作品を追っている人なら絶対に見て欲しい。
以下ネタバレ含む(というかネタバレしかない) お願いだから映画を見てから開けてくれ。
怪盗キッドという男の話をさせて欲しい。 怪盗キッド(黒羽快斗 且つ 黒羽盗一)は、怪盗である。 では怪盗とは何か? 芸術家である。観客を楽しませる、マジシャンである。 ではマジシャンにとって一番観客に見せてはならないものとは何か?
それは勿論、「タネ」である。
今回の映画は、怪盗キッドのタネを見せる映画ではないか? 私はそう思ったからこそ、この記事を書いている。
怪盗キッドのタネとは何か。
怪盗キッド/黒羽快斗とは何者か? その問が怪盗キッドのタネを見せる映画であると私が言ったことに紐付くだろう。
黒羽快斗。天才的有名マジシャンである黒羽盗一を父に持つ、マジックができるただの(ただの?)高校生である。 IQ400とか、ファザコンとか。いろいろ付け足したい設定はあるが。
そんな彼の好きな人、それは青山ユニバースのお約束に基づく、幼なじみの青子ちゃんである。 そんな幼なじみの青子ちゃんの名前が「中森」青子であると言うことをまず覚えて頂きたい。
怪盗キッド。コナン世界ではライバルであり、まじ快世界では主人公(かつ謎)であるその存在。一般的にビッグジュエルを狙うとされているその怪盗は、とある目的の為に怪盗をしている。
一代目怪盗キッド。黒羽盗一死亡の謎を暴くため。 その為に、黒羽快斗は怪盗キッドをしている。
そう、黒羽盗一は死んでいる。少なくとも、黒羽快斗はそう思っている。 黒羽盗一が死んでいるから。黒羽盗一に、なぜ怪盗キッドをしていたのか、なぜ殺されたのか聞けないから。黒羽快斗は、怪盗キッドの皮を被って父の模倣をしている。
しかし、怪盗とは犯罪者である。犯罪者であるからには、警察に取り締まられる物である。 警察。怪盗キッドを担当している警察。刑事。それは、「中森」銀三である。
中森青子。中森銀三。親子であるこの二人は、「キッドを捕まえたい」という意思が一致している。そして、「黒羽快斗が潔白である」と、信じている。(銀三に関しては内情が多く語られないため不明だが、少なくとも青子は黒羽快斗の潔白を信じている。信じようとしている。)
黒羽快斗。彼の目的は大きく二つである。
一、天才有名マジシャンであった父の死の謎を暴く
二、好きな人に怪盗キッドである正体を暴かれないようにする
怪盗キッド。その正体は黒羽快斗である。……ということを、一番バレてはいけないのは。一番バラしたくないのは、中森青子であるのだ。
怪盗キッドの、「タネ」は、中森青子であり、黒羽盗一なのだ。
……映画を見たアナタにはわかったかもしれない。そう、「名探偵コナン100万ドルの五稜星」は、「怪盗キッドのタネ」が、「名探偵」コナンの目の前に晒される映画でもあるのだ。
探偵は、謎を前にして解かずにいられるのだろうか。
たぶん、解かずにはいられない。 江戸川コナンは、キッドキラーは、たぶん。真の意味で、「キッドキラー」になるのではないか。
その材料が晒される過程を衆目の目前で見せるための映画だったのではないか。
私は、そう思ってしまった。
怪盗キッドの終わりが。黒羽快斗の物語が。永遠に続くなどということはない。 どんな物語にも終わりがある。
「名探偵コナン」でさえ。「まじっく快斗」でさえ。 終わりは用意されているのだと、そう視聴者に思わせるための映画だったように思えてしまうのだ。