未特定の感情

saoi910
·
公開:2025/4/27

朝の身支度にあまり時間が取れないタイプで、いつも大体15分とか20分で化粧をしている。だから今朝も会社に行くくらいのメイクを時間に追われながらパパパと塗ってて、ファンデで汚れた手を洗って鏡の前に戻ってきてふと「おばあちゃんのために化粧するのって初めてだな」と思った。

よく考えなくても昨日はお通夜で、だから昨日もそのために化粧してたはずなんだけど全然思い至らなかった。母を待たせていたので感傷に浸る間もなくストッキングはいてパパパと家を出たんだけど、そのことが今日はずっとちょっと面白かった。

祖母は6人兄弟の末っ子で、上と離れているので兄弟の子供たちとも交流が割とあったらしい。告別式に来てくれた母のいとこたちはよく悼んでくれて、そうなんだ、と言う感じだった。そこの層の交流をよく知らないというか、まだ(祖母なりに)しっかりしてた頃の交流で、それって私の成人前の出来事なので。

破天荒……無邪気?な人だったので、母や私は一緒に住んでいた頃が長くて様々な感情があり、ずっとどう思ったら良いのかわからなかった。はらわたが煮えくり返りそうな「ヴァアアアアア」の感情って毎日顔を突き合わせちゃう人以外には伝わりにくいよね〜と思ってたけど、母のいとこの人たちにも「まあ悪気はない人だったからそれが救いよね」と言われており、いやその接点量でもそうだったんかい!と思って面白かった。そうなんだ、と思った。

そう、今回は割としっかりコミットしてしまって、その割に決定権は私にはなく、ずっと「そうなんだ」と思っていた気がする。

脳と口がくっついててその割に何を言っても響かない人で、こっちはめちゃくちゃ消耗するのにどこ吹く風〜という人だった。本当に悪気がないことだけが救いで何考えてんだろう……と何か言われるたびに思っていた。何考えてたんだろうな、とこの二日間は特によく考えたけど、もう聞く相手もいない。だいぶ長いこと聞いてもわからなかったし、本当はしっかりしてる頃から聞いてもわからなかったのかも知れない。「もうおばあちゃんと〇〇することもないんだな」形式で振り返れる内容が一つもなくてやっぱり少しウケてしまった

よく解いては編み直していた赤いベストがあって、私はあれを一緒に焼いたら良いと思ったけど実家では見つからなかったそうだ。

遠出する時は必ず誰かと一緒だったので、一人で行くのは不安だろうと思う。母が遺体に向かって「お経の間よく頼んでおいたから大丈夫だよ」と言い聞かせていて、それを聞いたいとこの誰かが「うんうんって言いそうね」と言ったので、祖母のあのおざなりでふてぶてしい、聞いてるんだか聞いてないんだかよくわかんない歌うみたいな「うんうん」が瞬時に全員の脳裏に共有されて少し泣いた。全員同じ「うんうん」が脳裏に思い起こされていたと思う。それってすごいことだし、それが祖母の……なんだろうな、軌跡なんだなというと言葉が綺麗すぎるんだけど。

なんか良い炉だったようで、綺麗にほとんど形も残らず焼いてもらった。この人の中から母が来てそこから私が来て……と思うとすごいことだ。それがもう今はカサカサのお骨になって、大きな焼き物に入れられて綺麗な布をかけてもらって実家に置いてある。

103年生きたそうだ。まだどう思ったら良いのかわからない。30年後とかにわかるのかもしれないと思う。

@saoi910
手触りのいい布が好き