アドカレ
そんなつもりはなかったのですが、このポエムはあくあたん工房アドベントカレンダー 2024 21日目の記事になりました。他の記事も面白いので、是非ご覧ください。
本編
「かわいい」はしばしば「かっこいい」と並び立つ表現として用いられ、共に近年まで特定の性別の容姿を評価する表現として用いられることが少なくなかった。しかし現代においてその側面は薄れつつあり、単に美の特定の側面を評価する表現としての側面が市民権を獲得していると言って差し支えないだろう。
ロボットを評するとき「かっこいい」と「かわいい」とではどちらがよく用いられるだろうか。これは私の推測に過ぎないが、恐らくは前者だろう。
ロボットや工学とは無縁の知人曰く
「SFでは無機質に描かれることが多く、現実でも物流や製造で用いられている印象が強いよね。どこかの青だぬきはかわいいと思うけれど。」
とのこと。
この傾向はロボット競技においては顕著で、多くのそれにおいてはロボットのみならず選手までもが「かっこいい」と表され、またエンジニアの印象を向上させるためか、意図してそのように演出している競技会も少なくない。
ただこれはロボット競技に限った話ではない。競技において勝利のために心血を注ぐ様は「かっこいい」と表されることが多く、ロボット競技もその一つであるに過ぎない。
しかしそのような競技を嗜む者の中にも「かわいい」を追求する人は一定数存在しており、彼らは細部に「かわいい」を宿し、自らのモチベーションの向上などに役立てている。
それは多くの運動競技においては道具や服装などにそれが見られるが、ロボット競技においてはどうだろうか。道具はやはり工具だろうか。では服装は?ロボット競技におけるそれはロボットの装いということになるだろうか。ペットロボットのように「かわいいロボット」を作ることがそうだろうか。
ところで日々ロボットを製作していると「かっこいい動作」という言葉を耳にする。加減速の滑らかさ、急峻さなどそう称される要素は多岐に渡るが、この程度が甚だしくなるとき、一部の人はこれを「えっちだ」と評する。そんなことを臆面も無く言い出すものだから当初は大いに困惑したが、同時にロボットの動作に色気を見出す人もいるものかと関心したものだ。
さてロボット競技における「かっこいい」の話に戻ろう。ロボット競技で「かっこいい」の程度を評価するならばやはりロボットに特有の項目が評価されるべきだろうが、先に挙げた「かっこいい動作」の「動作」のような項目はまさにこれに当たるのではないだろうか。
そして「かっこいい動作」があるなら「かわいい動作」があっても良いだろう。人にあるのだから。
何やら雲行きが怪しくなってきた。ロボット製作経験がある方は既にお気づきのことと思うが、一般に「かわいい」とされる動作の実現は「かっこいい」のそれより遙かに難しい。そうなるともはや細部へのこだわりの範疇を超えているような気がするが、そんなこだわりを評価するロボット競技があっても良いだろう。
もちろん評価される項目は動作に限らない。装いが「かわいい」ものもれっきとした「かわいいロボット」だ。だがもし叶うなら、装いだけにとらわれないロボットの「かわいい」を私は見てみたい。
P.S. 選手がかわいいをしてくれてもいいのよ by かわいいが好きな蒼百合さん