●【遺書】初めての一人海外なのでマイナス遺産の存在などを記すか。。。【くじさき/Kuzisaki VTuber】
ただ天井を見詰めながら呼吸をしているだけでも、いちおう自分は存在していると他でもない自分自身に是が非でも認められる三次元の私たちとは違って、16:9の枠組みのなかで観測されて初めて存在が成立するようなVTuberは、自覚的にせよ無自覚にせよ、あの手この手で自身の「実在」を証明しようと試みているように見える。取るに足らない話をし、好きなものや嫌いなものを語り、歌をうたい、誰かと喋り、料理をし、外を歩き……あるいはゲームを通して、いくつもの物語をなぞる。ならば遺書を書くことは、そうした存在証明(!)のひとつの極限なのではないかと、この配信を観ながらぼんやり考えていた。もちろん当のくじさきは、さほど深刻な顔はしていない。
積年の夢だったシロナガスクジラとの邂逅を(借金までして)果たすべく海外に行く、その前に念のため遺書を書き残す配信という用意からして私は好きなのだが、どこまで本気で、どこまで冗談か判らないくじさきの不思議な魅力が、遺書というテーマのせいでときおり物凄くシビアな部分にまで接近するのが独特だった。普段、VTuberの言葉の端々から死生観のようなものを見出したがる視聴者にとっては、いわばチートシートのような配信であり、なおかつ内容が破滅的かつ刹那主義的なのであれば惹かれないほうが難しい。しかし、場合によっては重苦しさも漂いかねないこの企画を純粋に楽しめるのは、くじさきの、なぜかずっと他人事のように聞こえるトーンがあるからだと思う。家族に向けた事務的な文を書き終えたあと、想いを綴る段のことを「お気持ち」とし、近親者の悲しみを和らげるための「責務」と言ったシーンで大いに笑った。「死んでまで嘘書いてもな……」。
初鹿野を経由して存在を知ったからチャンネル登録の歴としては一年を越えるはずなのだが、この配信で明確に「チューニングが合った」感覚があった。それ以前の印象は「弾き語りができて、卒論の執筆に苦しんでいるひと」という程度で、逆に言えば一年以上もこれを看過していたのか……と気落ちする面も無くはないのだが、おそらく私の変化と、くじさき自身の変化の両方が今になって作用したのだろうと、2023年の振り返り配信を観ながら思った。大学を卒業してから一人暮らしを始めたり、会社に勤めたり、辞めたり、家賃を滞納したり、仮免に落ちたり、いろいろあったらしい。VTuberを観るのに物理的なつまみを捻る必要はないが、そうした長い時間のなかで波長の変化を捉えるのも楽しみのひとつである。今は着々と迫るシロナガスクジラへの準備と、その感想配信やVlogを楽しみにしている。
●Virtual to LIVE【covered by #にじさんじ1期生出身】
●【歌ってみた】愛のシュプリーム!【安土桃/社築/にじさんじ】
●ライカ / 卯月コウ(COVER)
●月ノ美兎「電車かもしれない(utatane mix)」(たまカバー曲)
●nobleness ┋original / 雲ケ畑やや
今週の配信を「観る」時間はだいたいくじさきに充てられて、あとはしずりんのBaldur'sGate3を作業中に流したり、髪を乾かしながらパトラの雑談を聴いたり、紡葉よみさんの雑談を聴きながら眠ったりしていた。一月いっぱいで活動を辞したにじさんじのふたり──と括るのも気が引けるくらい別様だった両者のことを書く気力も残念ながら無いのだが、その影響で歌動画はわりあい多く観た週だったと思う。特に「愛のシュプリーム!」は以前から好きな楽曲だったが、意外性が納得感に変わったところで涙腺が緩んだ。
コウの歌は喋り声の延長線上で、しかし確かに歌の世界にしか生まれえない側面を見せてくれるのが凄いと思う。少し前に見返した放課後サボタージュでは「演技は恥ずかしい、歌は平気」と零していたが、「ライカ」の歌唱はところどころ、いい意味で演技に迫っていたように感じた。けれど、それがハヤオも許しそうな素直さを維持していることは言うまでもない。「電車かもしれない」の動画は委員長のウィスパーボイス縛り歌枠の音源に伴奏と動画が加えられた二次(三次?)創作で、大作とは異なるソフトな見応えがあった。特に伴奏のクオリティが高かったのが嬉しい。雲ケ畑やや氏の「nobleness」は、昨年のうちに知っていたら確実に2023年ベストの再生リストに入れていたと思えるほど好みだった。ジャンルの小分類について語ることは難しいのだが、とりあえずメタルサウンドと言って差し支えないだろう音像とウィスパーな歌声・ドリーミーなビジュアルの調和がきわめて美しい。けっして流行中のジャンルではない音楽性を自身の表現に落とし込んでいる、という意味でも非常に好感を覚え、端的に応援したいと思った。
●後で見る(抜粋)
◯【地学布教雑談:1】地学ってなあに?【倉夢ぴこ / Phase Connect】
◯にじさんじ6周年!ゲーム&バラエティ2DAYSオールスター大決戦 DAY2【#にじさんじ6周年】
●雑記
くじさきの項の分量なら日光室に載せていいのでは? と勘づいたり、そもそも週報を書くのは一般的に月曜日ではなく日曜日なのでは? と思い及んだり、書きながら運用方法についてあれこれ考えた。生活の方は……相変わらず始まりが終わっているのか、終わりが始まっているのか判らない局面にあり、終わりも始まりもないような日々を求めている私としては穏やかじゃないのだが、特に鬱屈ともしていないので及第点とする。体調も週の序盤はがたついていたが、徐々に復調してきた。次週はもう少し淡々としたい。