●【初・名古屋観光】手羽先!変な喫茶店!ジブリパーク!(月ノ美兎)
わたくしが名古屋に行く理由はだいたい三個くらいあって……かつてなら生配信のなかで語られたであろう「体験レポ」も、今は多くが動画を通して届けられるようになった。懐古のような感情もなくはないが、やはり形式としてはこちらの方が本来的に適していると思う。印象に残ったのは、それまで一般的なVlogと同様、動画にナレーションを載せる手法で話を進めていた委員長が、目的地のひとつである喫茶店に到着すると、唐突に対面に座って、しかし素知らぬ表情で話を続けだしたシーンである。
この場面は、おおげさに言えば時空間が混濁している。VTuberのモデルと実写の風景が重なりあう光景じたいは珍しくもないが、そのうえで事後的な語りが続くのを見たのは、私の経験のなかでは初めてだったと思う。生配信の「体験レポ」に覗えた創意工夫が動画に向けてコンバートされた感もあり、このような、いわばVTuberらしい表現を自然に、さりげなく盛り込めるところは月ノ美兎の本領と言えるだろう。あと新宿タイガーにマーニーと名付けられた委員長が本物の(?)マーニーの像と対峙したことに謎の感動を覚えた。
●【歌枠】もしもし?いまから車とか…出せる?実はね、【周央サンゴ】
権利の都合で冒頭に歌われた「ロビンソン」がカットされると聞き、あらためて視聴した。この物語において、「彼女」と「自分」は冷たくなった「もうひとり」を積んで夜の海へ、そして山へと車を走らせるわけだが、それと同時に私たちは周央サンゴというひとに、楽曲の世界の、知らなかった風景が見える場所まで誘われている。誰かが作った音楽を歌う、紛れもない二次創作の仕方として、これよりも優れた作品はそう見られないと思う。そして、次にはこの配信を端緒として、また新たな風景がひとつ、ふたつと生まれる。そうした触発の連鎖を、私は美しいと思う。
●【行間ラジオ #6 】古きを温ねて己を知る【栞葉るり/にじさんじ】
今週も腰を据えて配信を観られる時間が少なかったが、そういう時期にラジオ動画はやはり有難く、すっかり聴くことが習慣になりつつある。今回は栞葉さんが自身のルーツについて、お便りを交えずに熱弁を振るっていて聞き応えがあった。生配信は依然として観られておらず、ラジオも過去のぶんまで遡れていないから私は「行間ラジオ」というタイトルの由来を知らないのだが、これは「生活の行間」に適したラジオ、という意味だったりするのだろうか。だとしたら「あなたの隙間時間にちょこっとな」と同じだ、などと、特に意味もなく考えた。
●【#女子高花畑 】ユカイな3D配信2024!!!!【椎名唯華/にじさんじ】
慣れないことをした日の疲弊した心身に沁みわたった配信。もはやゴールデンタイムの「本番」に相応しいメンバーの実力と、深夜の「勉強会」の名残のような助けあいの両方を観られたのが、純粋な面白さのなかで感慨深かった。
●2024(ヤギ・ハイレグ)
●マイナス4 / ui
この二曲を電車のなかでよく聴いた。いずれも優しい音楽で、今のところYouTubeでしか聴くことができず、あとなぜか楽曲の終わり方がよく似ている。そうした偶然の一致を楽しむ面もあったのかは定かでないが、何度も行ったり来たりしていた。そして思い返せば、今日挙げた配信はほとんどが移動時間に視聴したものだった。「移動時間はなにもしない権利を得られる時間」というジェシカ・マージマンの言葉を思い出し、なにかに抗うように虚空を見詰めてみる。
●後で見る(抜粋)
◯【 3.0お披露目 】表情筋アップデート!感情豊かな小清水透を見て🥰【小清水 透 / にじさんじ】
◯【生放送】🏔️雪山人狼で仲良くなろうの会🪓【ぶいすぽっ!/にじさんじ/兎鞠まり/ヒメヒナ全力集会#09】
◯【魔法使いの夜】「型月」の原点を見に行こう! #1【栞葉るり/にじさんじ】
●雑記
目の前のことに取り組むさなかにいろいろなことが始まったり終わったりしていく。それは現実もバーチャル世界も同じであり、たとえばSEEDsのオフコラボも、一期生のオフコラボもあまりきちんと観られていない。この手の大きな配信は、発生する感情が純粋な楽しさだけではないぶんリアルタイムを逃すとなかなか手を伸ばせなくなる。現実の方も過渡期らしい心身の落ち着かなさがあり、これを書いている今も頭痛に苛まれている。このあたりで切りあげて眠る。これは、と思ってレンズを向けた場所の写真よりも、目的地に近づいて配信の音量を下げようとしたときに、手が滑ってカメラが開かれていたがゆえに誤って撮られた写真の方が、そのときの感情を綴じ込めることだってあるだろう。