日記:1/4: 仕事始め、インターネットを逍遥

猿場つかさ
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歩くこととネットサーフすることは似ている。雑多なノイズを食らうからこそ思考が研ぎ澄まされる。わたしは散歩が好きだ。あったかもしれない生活を思い描くのが好きだ。旅人としてではなく、住民としてではなく、ひとりの通りすがりとして街路に存在するのが好きだ。生活の土台がないからこそ、地図的に(俯瞰的に)頭に叩き込むしかない地図を頼りにふらつくのが好きだ。遍在できないことを痛いほどに思わせてくれるから。

Xを逍遥することは、思考を研ぎ澄ますための一つの手立てなのではないかと思うことがある。締切から逃げているだけ、とか言わないでほしい。実際逃げているだけなのだけれど、なんで逃げているかを掘り下げていけば、逍遥する理由というのはでてくるはずだから。ちょうど昼そんな漫画を読んだ。

埋め込みが大きすぎて引いてしまったけれど、事象をロジックツリーに分解していく能力に長けている主人公がでてくるお話。実際こういう人は多いし、便チュア界隈もこんなのばかりだと思う。WhatがないからHowやWhyを探したがる。開発プロセスの話やデザイン思考なんてその際たるもので、Whatがしょぼいからそういうことを言っている余裕があるのだと常々思っている。創作指南本とかもにた匂いを感じる。そんなことするより、自分が思うものを作るために手を動かしたほうがまだいい。わたしのまわりの(私の尊敬する)創作者たちはみんな、そうやっていい感じにアウトプットしている。

歌舞伎町タワーの映画館が資本主義〜という感じで笑ってしまった。

@sarubatsukasa
SF作家 / 「海にたゆたう一文字に」で第6回ゲンロンSF新人賞を受賞 /小説すばる陶芸SF「長い鰭で未来へと泳ぐ」掲載