ホキアンガ旅行中のツアーレビュー

ten
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公開:2025/10/15

友達の地元ホキアンガへ遊びに行きました。友達が企画しようとしている観光ツアー兼ワークショップのレビューを頼まれたので、内容のメモ、感想をせっかくなので日記に。実際的なフィードバックは個別で友達に送ります。ホキアンガはニュージーランドの北島の、そのなかでも最北部のノースランド地域にある市?。住所構造難しい。

https://www.newzealand.com/jp/hokianga/

ホキアンガの説明

ホキアンガは「偉大なるクペの再来の地」とも呼ばれています。クペはマオリの人々が語り継ぐ英雄で、南太平洋のあちこちを探検してニュージーランドを発見し、ポリネシアの故郷から今日のマオリの先祖となる人々をこの地に導いたと言われています。

マオリには様々なイウィ(部族)がありますが、その多くはクペの末裔と位置づけられています。

特にノースランド地方のイウィのルーツはホキアンガ周辺にあり、ホキアンガこそクペが最初に上陸した地であると語られています。

南側からホキアンガへ向かうと、ニュージーランド最大のカウリの木、タネ・マフタのある、ワイポウア・カウリ森林公園を通ります。森を抜けるとすぐに、壮大なホキアンガ湾の風景が広がります。

湾の北側は巨大な砂丘になっており、南側にはオマペレとオポノニの2つの小さな町があります。

ホキアンガ・ハーバー周辺で最も大きな町はラウェネです。 クレンドン・ハウスという歴史的建造物のあるこの町は、ニュージーランドで史上3番目にヨーロッパ系移民が築いた町です。マングローブの林の中には板張りの遊歩道が設けられており、散策に最適です。ラウェネからは対岸の町コフコフへのカーフェリーが出ています。

ホレケの集落の近くには、ワイレレ・ボールダーズという場所があります。いくつもの巨大な岩が1.5kmにもわたって、谷底を流れる川のように一列に並んでいます。

見た目は石灰岩のようですが、すべて玄武岩です。溝が入ったようになっているのは、カウリの森林から浸出した酸がこの辺りに流れてきていたためです。

このサイト詳しくて助かる。

ツアーについて。

1日目

1日目はホキアンガ湾の岬でフィールドワーク。車で自然公園の入り口へ。風が非常に強い場所で、低木の木々の下の空洞のような場所で御座を敷いてオリエンテーションが始まる。まずツアーの目的が説明され、その後、その土地とその歴史、自分のルーツ、人とのつながりの話になっていく。その友達は長野で熊の生態調査や写真撮影などをしていて、その中で広く環境問題への対応はトップダウンではなくボトムアップ、現場の人たちの繋がりが大切ということに気づいたそう。人と自然をつなげることが持続可能な行動の基礎になるという考え。彼はパケハのルーツだが、マオリとの関係が深く共生の歴史も長いホキアンガという地で育ち、長い日本生活から帰って地元のコミュニティに改めて触れ、またマオリのコレクティブ的な生き方、祖先との繋がりのあり方を学びなおし、そういった自然、人、土地との繋がりを広めていきたいと思いツアー兼ワークショップをすることに思い至ったらしい。という、彼の体験談と思考の経緯を聞くことによってそれを追体験して、自然、人、土地との繋がりがどのように大切かがわかる内容。その後、皆で目を瞑って一分ほど自然を感じる時間があり、最後にマオリの伝統や彼のルーツに関係があるという南アフリカの伝統などからインスパイアされた、彼の独自のkarakia(この場合、自然、土地、ルーツへの祈りと感謝の言葉)を聞いた。

祈りが終わり、参加者は言葉を発さず、自然を感じることを続けながら岬の先端まで5分ほど歩く。先端に着いたら、参加者それぞれが一分ほど、先ほどの祈りを参考にしても良いし、オリジナルなやり方でも、ただ喋るだけでも何でも良いが、ホキアンガという土地の印象や、今回どう関わったか、ツアーを通して何を思ったか、自然に触れてどうだったか、自分のルーツやツアーの中での人との関わりはどう感じたか、などとにかく関連する印象深かったことを自分の言葉で喋って終了(mihiという)。

というツアー。

ちょっとわかりにくいかもしれないが、自然を身体で直に感じながら(そしてその感覚を積極的に研ぎ澄ませながら)、自然との繋がりを抽象的な次元で考えていくのはなんというかすごく特別な、神秘的な体験になった。知らない「土地」を体験することをここまで効果的に、印象的にできるとは全く思ってなかった。この国に来てからのこと、ホキアンガに着いたときのこと、道で見た牛や馬、羊、友達の犬のにおい、風の強さ、日差し、鳥の鳴き声、湿った草の質感に想いを馳せる。色んなところに旅行したし色んな体験とかアートとかやって来たけど、一度きりの機会で会うものに対する思い入れをこんなにも増幅する仕組みは本当にはじめて。まだテスト段階で荒削りな部分もあったが(本人にはフィードバック済み)、正直ここまで素晴らしい思いをさせてもらえるとは思ってませんでした。舐めててすまんかった…。

自分は話を聞きながら、自分のルーツってそういえばあんまり考えないようにしてたな、とか思った。祖先っていうのとイエ制度、家父長制の温存っていうのが自分のなかで近い概念として混じっちゃっていてきちんと整理できていなくてなんとなく避けていたのかも。個人主義が染み付いているな、とも思う。マオリはコレクティブ的な人の在り方なので、ルーツとの繋がりを大切にするというのを聴いていいな、と思ったので、今度じっくり自分のルーツに向き合ってみようと思った。祖先への想像力は子孫、未来への想像力になるかもしれないし。(あとあと、ルーツが気になるのってやっぱ年のせいもあるよねとか友達と話した。30代である。)

2日目

2日目は地元のコミュニティガーデンで農業体験。

コミュニティガーデン Kai Manawa(heart of food)とは

https://www.homes.co.jp/life/cl-column/cm-region/33776/

まさかのホームズにかなり詳しい内容が書いてあった。なんで??

簡単にいうと地域で運営されている農園で、野菜を作るだけではなく、地域の人のつながりを生んだり、自然とのふれあい、伝統やカルチャーを学ぶ場になったり、時には社会復帰のために使われたり、生産工場ではなく人の営みの場としての農園という感じ。

行ったのはWhirinakiのコミュニティガーデン。助成金や地域の予算で運営されているところも多いが、このガーデンは地域の人が野菜にお金を払ったり、マーケットで野菜を売ったりしてほとんどを自力で運営しており、トップダウンではなくボトムアップで運営できていることが特徴のよう。

ガーデンの管理人的な方に畑の理念や作物の解説をしてもらったあと、土を運んだり、スイカの苗を大きめの新聞紙のソケットに植え替える作業をやった。解説の英語は理解できているかかなり怪しいが、どんな理念や目的でやっているか、なにが植えられていてどう育てているか、地元の野菜は何か、などとても色んなことを教えてもらった。実際の植物を目の前にして話を聞くのはやっぱりネットで一覧を見るのとは全く違う。管理人さんはとても熱意あふれて優しくて、非ネイティブの自分たちにあわせてゆっくり聞き取りやすく喋るように意識しつつも、植物のことになるとちょっと過剰な話しぶりになるのがかっこよかった。そして実際の作業。ツアーの1日目の結果体験にたいする五感が鋭くなっている状態で、あわせてコミュニティとのつながりや地元の人との関わり、とてもウェルカムしてくれていることを感じながら土と触れ合うのは大変豊かな体験だった。労働ってのはこうあるべきだ…。

わりとしっかり作業をさせてもらったあと、みんなで持ち寄りの、まあサンドイッチとか簡単なものを囲んでご飯。食を囲む、というのがマオリカルチャーとしても重要な要素のようで、ここでも実際に一緒にご飯を食べて簡単な会話を交わしていく、という生の経験ができたことは貴重だと思う。畑のレタスをちょっともらったりもできて良かった。

二日間を通しての感想。ニュージーランドの自然を体験する、と一言で言ってもいろんなやり方があると思うが、「こんなやり方があったとは!」と一種の発明を見たような気分になった。自然やその土地を感じることに自覚的になり、リスペクトするという、これまで長く自然に触れてきた友達だからこそたどり着いた景色の入り口に、今回ツアー/ワークショップの形で導いてもらえたことは幸運だったと思う。

今後はしばらくウェリントンに戻り、ニュージーランド国内をいくつか旅行したりもすると思うが、今回教えてもらった土地への向き合い方を思い出しながら生活したり観光したりしたいなと思います。

@sasamikunsei
painter/actor 🟨⬜🟪⬛ 🏳️‍🌈🏳️‍⚧️🇵🇸 AIU12th あらゆる差別・戦争・虐殺反対 25/07〜 Wellington NZ Aotearoa www.instagram.com/sasamikunsei/profilecard/?igsh=eHdjcHZnZjB5MHJl