誤解を生みやすいポジティブフィードバックという言葉

sassy
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制御工学を学んだ工学者として、『ポジティブフィードバック』という言葉は、同じエネルギーをフィードバックし増幅させる仕組みを連想する。一方、『ネガティブフィードバック』は逆のエネルギーをフィードバックし安定させるというものだ。例えば、暖房のサーモスタットはこの仕組みで温度を安定させる。

例えば承認欲求をさのポジティブフィードバックと表現した時は、大きな舞台で承認欲求を満たしてしまうと、さらに大きな承認欲求を求めてしまい、そこに苦しむということである。大きい舞台になってしまい、プレッシャーなどに苦しんでしまいうまくいかなくなる。いわゆる承認欲求の呪縛というものだ。

ところが、以前『失敗の科学』という書籍を輪読したときのことだが、失敗したことをポジティブフィードバックすることにより学習するというようなことが書いてあり、そこについて参加者から「それはネガティブフィードバックでは?」という指摘があったのが印象的だった。失敗から学ぶことは出力の逆をフィードバックし正しい方向に修正することと捉えられる。しかしここでは、ポジティブ"な言葉で"フィードバックすることで失敗を報告しやすくし学習すらという意味であり、言葉の意味合いが違う。

ビジネスでいうポジティブフィードバックやネガティブフィードバックではフィードバックする時の言葉の使い方の問題であり、加算/減算の意味はない。ここにギャップがある。

基本的に文脈で判断するので間違えないと思っていたが、たまにすれ違いがあるので書き起こしておく。