新しく発売された乙女ゲームはなるべく早めにプレイするよう最近は心がけています。
後でやろうとするとずるずる後回しにしてしまうの悪い癖です。
という訳で、マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝の各キャラ感想です。ネタバレはほぼしてませんが好きに書いてます。
ナーヤ(主人公)
彼女自身が現状を打破する力を持っているわけではないので、その時々で状況に流されているようにも見えましたが、流されながらも相手に寄り添える優しさや、今の自分に出来る事を理解して動ける子だなと思いました。
マツリカ村の人間からどんなに生を否定されても、自ら生を諦めることがなかったのはとても好印象。
ルートによって服装や髪型が変わるところも細かくていいなと思いました。どれも良かったけど、白狼族バージョンが一番お気に入り。
共通ルート
乙女ゲームに限らず、村や島など閉鎖的で排他的な環境の物語というのは大体ろくでもない展開になると思ってますが、今回もまさにその通りでした。
序盤からそんな空気が伝わってくるので、マツリカ村の住民は誰一人として信用してませんでしたが、ナーヤが村に災厄をもたらす存在だと分かったとたん高速手のひら返しは芸術的すぎてもはや笑うしかなかった。
罵られ、石を投げられ、友人に手酷く裏切られ、牢に入れられ、翌日処刑とか短時間でどんだけフルボッコにしてくるんだよこいつらと思いましたが。
それからすぐに謎の敵襲によって村が壊滅して、ナーヤの選択で物語がルヲとゼベネラに分岐する感じです。
青凛と燕來の共通ルートだと王都で差別されたり騙されそうになったり、村人の罵倒や弓矢攻撃とかされますが、ルヲ達の共通ルートに比べたら全然マイルドでした。村に入らずに青凛と燕來に保護される形になるのはほんと嬉しかったし。
しかしこのルートで見れる共通バッドはマツリカ村の闇を見せつけてくる胸糞鬱エンドでしたね……。
ルヲ
村に出入りをしている商人で最初から出番もあったというのもあって一番手に選びましたが、予想以上にヘビーなシナリオでした。
ルヲが本心見せず表面上の優しさで接してたのは分かっていたし、ちょくちょく入るルヲ目線でもナーヤを今後どうするか悩んでいる描写もあったので、何が来ても怖くなかったし裏切りも想定内でしたが、砂漠サバイバルからの怒涛の展開には結構驚きました。
というか精神的にも肉体的にもルヲが痛めつけられるシーンが多くて、状況的にも追い詰めれてゆくので、最後まで気の抜けない展開が続きましたが、砂漠サバイバル後からルヲと距離が縮まってゆくのは良かったです。
雨前終節
こういう展開好きな人もいると思う、闇てんこ盛りのエンド。
個人的にあんまり好きな展開ではないのですが、ステラ小冊子を読むとまた趣が変わってそうなると割と好みな感じになるので困りました。
が、あくまでゲーム内だけで終わると苦々しい終わり方です。タイトル画面でのルヲの悲痛なコメントが辛い。
明前終節
ルヲがナーヤと共に生きていくために自分の信念を曲げた末にどこまでも堕ちていったエンド。
多分、信念を曲げたこのやり方は一番簡単だと思うのですが、人として大切な何かを失ったんじゃないのかなと思いました。
そんなルヲがナーヤに抱いているのはもはや恋情ではない執着で最期までそうなんだろうなと感じたこちらも暗めの終わりでした。
春前終節
ルヲがナーヤと共に生きていくために自分の信念を曲げず、あらゆる最善を尽くして幸せを勝ち取るエンド。
自分の持てるもの全て、過去に築いてきたもの全てで勝負に出たのはスカッとしました。
幼い頃から自分は普通の幸せなんか望めないと思って生きてきたルヲがこれからはナーヤと共に幸福に生きていけるのは本当に良かったと思います。最後の夫婦スチルほんと好き。
……幼い頃の出来事はルヲが手引きしたんじゃないのかとずっと疑ってたのはほんとごめんなさい。
胡 青凛
青凛には全く非はないけれど、彼を取り巻く環境(主に父親)が屑すぎてかなりストレスフルな展開でした。
客人として青凛に保護されてからしばらくは平和な日々だったのもつかの間、ナーヤの歌がなんか凄いと王に知られた途端、乙女ゲーでもトップクラスに嫌すぎる役目を王から任命されてもはや笑うしかなかった。いやどうしてそんなトンチキかつクレイジーな役目やらないといけないんだよ、ほんと無理すぎる。
まあそんなこんなで青凛がナーヤを守るために結婚してくれるんですが、青凛は幼い頃に母親を亡くし、父親からはガン無視(どころか命も狙われ)、周りにいる人たちは燕來ですらも王の命令があれば自分のもとから去っていくかもしれなくて、ずっとひとりぼっちだったのが、ナーヤが妻としてこれからは傍に居てくれることを心から喜んでたのは、胸に響きました。
なかなか物語が動かないなーと思ったら、終盤は怒涛の超展開でした。
雨前終節
優しすぎる青凛の自己犠牲で解決したけれど、どこにも居場所がないナーヤを置き去りにしたのはちょっと……。燕來に押し付けたように見えなくもない。
青凛のことを最後に燕來が気付いてくれたのは良かったなと思いましたが、燕來的には心の傷になってそう。
個人的には目の前でナーヤを喪った青凛が怒り狂って、月下ノ国滅亡エンドを見てみたかった(妄想)。
明前終節
月下ノ国終了のお知らせエンド。まあ四聖獣を信仰しなかったのが悪いとしか言えないし、完全に自業自得。
青凛とナーヤは幸せに暮らして行けるので、多少の後ろめたさがあってもこれはこれでいいと思います。龍の皆さん好き。
春前終節
月下ノ国の王としてナーヤと共に生きるエンド。問題が片付くまでが結構最後までごたごたしていたし、燕來とはああいう決着しかつけられなかったのは仕方ないとはいえちょっと寂しかったです。
そのせいもあってか明前終節よりも圧倒的に甘さが足りないし、色々気になることも残ってるし、後日談が切実に欲しいと思いました。
二角獣
隠しキャラなので、最低限のことしか書かないでおきます。
このゲーム隠しキャラいるんだふーんくらいの軽い気持ちでルート入ったら、二角獣可愛すぎて速攻でお気に入りになりました。ひたすら幸せになって欲しいし、彼にはその権利がある。
諸悪の根源さんは恩人ともいえるけどお前のせいで……という気持ちのほうが強いですが、愛に一途に狂って自滅した哀れな人でもあるので憎めないし、そういう人むしろ好き。
雨前終節
最後のスチルが衝撃すぎてそこそこトラウマですが、忘れても覚えてなくてもそれを大切だと思い、一緒にいれて穏やかでいられるのなら歪だけど、これもありなのかもしれない。
明前終節
大元は解決してないけど、世界でふたりぼっちエンドなので大好きです。
春前終節
二角獣ルートに入ってからずっと感じてましたがこのルートのナーヤはやたら村に帰りたがるし、幸せだった頃の夢見ては郷愁にかられて泣いたりと、ちょっとめんどくさい女だったんですが、これから大変って時に何の根拠もなく二角獣なら大丈夫だとお別れして、一人で村に帰り、村人に見つかって殺意向けられてショック受けるの正直、今更そのリアクションは意味不明でした。いや、村に帰らないといけない理由もあったのですが。
で、打ちひしがれて逃げ出して、二角獣のところに向かったのですが、ここら辺のくだりは割と虚無でした。
とまあしばらくもやもやしてましたが、二角獣と合流してからは落ち着いて進められました。
さっくりと物事が解決していくので、このまま穏やかに終われるのかなと期待してたら予想外の方向に進んで、最終的に彼らなりの最善の幸福があの形だったというのは色々考えされられました。
二角獣のタイトル画面でのコメントでも一緒に居られればどんな形でも幸せだという感じで語っていたので、これで良かったのだと思ってはいますが、明前終節のほうが個人的には好みの終わり方だったかもしれない。
ゼベネラ
今まで進めてきたルートでゼベネラ全く出てこなかったので、やっと会えたね! と新鮮な感じでした。
敵襲から村を救うためにナーヤがゼベネラに助けを求めて、その見返りに嫁ぐというのは納得いったけれど、村人たちのよそ者に厄介者押し付けてやったぜ! 的なリアクションは相変わらずの村人で笑ってしまった。もう村人はそのままでいてくれ。
白狼族も普通に栄えてるのかと思ったら割と詰んでて、ナーヤが嫁いできて良かったねと思いました(この時は)。
ゼベネラは寡黙だし考えてることも分かりづらいし、ナーヤも村を救うためだけに嫁いできたから最初は義務感でぎこちないやり取りだったのが、徐々にお互いを知っていき、愛情に変わっていく描写は丁寧で、とても良かったです。
しかし突如現れた妖魔のせいでどんどん殺伐としていきましたが。
雨前終節
ほんと哀しい終わり方。ナーヤもゼベネラも可哀そうすぎる。おのれ妖魔。
明前終節
村を捨てて、新たな地で皆と生きていくエンド。春前終節が物悲しい終わりなので、実質これがベストエンドな気がしました。割と色々うまくいっているし、安心感はすごくある。
ゲスト出演のルヲがいい立ち位置だなと。
春前終節
ハッピーエンドのはずなのにあまりハッピーに見えなくて切ない。
そしてお偉い人は勝手に使命の為に生命を作っておいて、必要なくなったらポイ捨てでアフターケアも無しなのほんと身勝手すぎるよね……とこの世界の理不尽さを感じてました。必死で生きていてもそれなのかと。
EDの曲が終わった後、後日談があると思ったら一切なかったので、ちょっとびっくりしました。せめてその後が少しでも分かれば印象変わったのになあと。
玖 燕來
攻略制限かかってるので、まあ何かあるんだろうな感の強かった燕來ですが、なかなか本当に壮大な展開でした。
最初は燕來が宮廷での仕事を色々と紹介してくれて、でも何をしてもうまくいかず、燕來には冷たく酷く現実を突きつけられ、それでも自分の居場所を求めて必死に頑張るナーヤはとても健気で応援したくなりました。
燕來もそんなナーヤと一緒にいることで徐々に変わっていって、ここら辺は見てて本当に楽しかったです。かなり期待していた部分だったので。
しかしその後、玖家の人々が大暴れしだして、そこから止められないジェットコースターのようでした。いや本当に。
雨前終節
正直、燕來の思考回路が理解できなくなって困惑したまま終わりました。ナーヤがどう思って今でも燕來の傍に居るのかが知りたかったんですが、こういう時に限ってずっと燕來目線だったの悔しい。
春前終節と同じところで分岐するのが選択肢次第でどちらの運命にもなりえるという意味なのかなと思えました。
明前終節
玖家とおさらばしてナーヤと自由に生きるエンド。燕來のエンディングの中ではぶっちぎりこれが一番好きです。
ようやく二人で平穏に生きれる場所を見つけて、ささやかでも日々幸福に暮らしてこれからもそれが続いていくの本当に嬉しいし心から祝福する。青凛の優しさが伝わってくるのも良かったし、最後の夫婦スチルほんと好き(二回目)。
玖家が大暴れする前にとんずらしたので、私が思考停止したショックな場面もなかったという訳で、そういう意味でもこのエンディング最高。
春前終節
なんか最後どう着地するんだと心配になるくらい色々ありすぎたんですが、壮大かつ綺麗にまとめたなと。結構色んな事実が判明してそこら辺も面白かったです。
燕來は他ルートで何を思って行動していたのか良くわからなかったんですが、ナーヤと出会って変わった燕來だから今この未来を掴めたんだなと。
フェイ
そう来るのかーの展開だらけで、人を選びすぎるのではという感じのストーリーでした。
そもそもガッチガチに攻略制限かかってるし、ナーヤが村から出たら他ルートでの出番もほぼないし、ここまで空気なのはわざとなのかと思ってたんですが、そういう訳だったのかと納得。
しかしフェイのルート=村に残るという訳で、これが最後の大暴れだと言わんばかりに村人たちがクソムーブかましてくるので、もういい加減にしてくんないかなと(#^ω^)。
そんな中でもフェイ側の事情が分かってきて、ああこれ色んな意味でダメなやつだな……というのをひしひし感じてきつかったです。
という訳で中盤からもう別の話になったので、何とも微妙な気持ちで最後まで進めていきました。
全ルートでの伏線とか綺麗に回収したし、マツリカの炯という作品のラストに相応しい話だと思います。ただ本当に人を選ぶと思う。
雨前終節
個人的にはこれがフェイのエンディングではしっくりきました。
逃れられない運命ならその前に終わるのがいいのかもしれない。その後の事は語られないので知らないで済むし。
明前終節
いやー、あなた達が幸せならそれでいいんじゃないですか? しか出てこなかった。ほんと他人事だったので。
このエンドもステラ小冊子を読むとまたちょっと話が変わってきて、泥沼エンドに変貌するのどうして……。
春前終節
誰に主軸を置いてるかで見え方が変わると思うのですが、このエンドに至るまでに彼への印象も変わってくるし、もはや誰が誰だか混沌としてるので、そこら辺はプレイヤー次第だなと。
しかし最後のナーヤのあの言葉は仕方ないとはいえしんどかった。どっちにも幸せになって欲しいとさすがに思ってしまうし、そこまでプレイヤーの感情を変化させておいてラストにあれを持ってくるのやってくれたなと。
ED曲の後の物語の締め方はすごい良かった。最後までプレイして良かったなと素直に思いました。
若干もやもやするところや、しんどいと感じることもありましたが、全体的に見ると綺麗にまとまってて面白かったです。
ただ、攻略対象の誰に一番感情移入するかで評価も変わりそうな気がします。私は二角獣なので、多少思うところもあったりしますが。
しかし最初から最後まで村人たちへの思いだけは一貫して変わらず、村人たち許さない。そんな作品でした。