原作は中国の作家、紫金陳の「坏小孩(邦題:悪童たち)」という小説らしい。中国では「バッド・キッズ 隠秘之罪(原題:隠秘的角落)」というタイトルでドラマ化。配信では2ヶ月で10億再生される大ヒットになったとのこと。このドラマはPrime Videoで見ることができる。
ゴールド・ボーイは、「坏小孩」を日中合作ではなく日本制作で実写化し、日中同時公開するという特殊な試み。史上初らしい。確かに聞いたことはない。
参考:日中同時公開に挑む実写映画プロジェクト『ゴールド・ボーイ』が発表!中国ベストセラー・サスペンスを原作に日本で制作!
監督は金子修介。平成ガメラシリーズ、実写化デスノートを手掛けた人物。幼少期の思い出、平成ガメラ。
岡田将生は、事の発端となる殺人事件を引き起こす東昇を演じていた。岡田将生の顔の良さと演技も上手さから、善人を装って他の人間を騙せているという説得力があった。自分もまんまと騙されそうだなと思った。
東と敵対する3人の子供のリーダー格、安室朝陽を演じた羽村仁成もめちゃくちゃ良かった。10年前から子役をやってて、SMILE-UPのGo!Go!kidsに所属している子らしい。SMILE-UP周り全然知らないけどこういうキャリアの子いるんだなと思った。シネマトゥデイでも取り上げられていたみたい。
本作は、安室朝陽に対する違和感とその回収の仕方が綺麗だった。序盤の朝陽は気の弱そうな様子で大人しく、ナイフを使ってカツアゲをしている上間浩の素行の悪さの方が目立っていた。朝陽は何故彼とつるんでいるのか疑問だったが、カツアゲを全く止めず、その後に何事もなかったかのように一緒に食事をするシーンは不気味だった。
その後、自分たちがつかんだネタを使って東をゆする提案をしたことを皮切りに、朝陽のおかしな一面が少しずつ露呈していく。不可解な言動を繰り返す13歳の少年に殺人犯が振り回され始める展開になっていくのが面白かった。
朝陽は、東の行動すべてを読み切って計画を立て、犯罪を成立させたが、彼が利用した上間夏月の行動を読み切れなかったことが原因で計画が破綻する。殺人犯の行動を読み切れる異様な思考と価値観を持っていたがゆえに、自己犠牲の精神が理解できずに破滅してしまうということに、妙な納得感があった。
朝陽が夏月に情を持っていたと思われる描写が存在していたのも良かった。それが何なのかを理解し、夏月を生かす甘さを見せていれば彼の計画は完遂できていたのだとすると、ままならぬものだなと思う。