原作既読。映画を見る前に通読してから行った。
原作は浅野いにお。宇宙人が襲来して人類が終了する話である。全12巻。
前章は基本的に門出・凰蘭の高校生時代の話で、一部彼女たちの過去の話が挿入される構成になっている。原作では1~3巻、8~9巻にあたる部分である。
基本的に原作準拠だが、重要な「栗原キホ」と「門出・凰蘭の過去」のシーンは再構成されている。
栗原キホは、物語のターニングポイントになるキャラクターである。彼女が関わる墜落事故は門出たちにとって日常崩壊の幕開けとなったし、小比類巻との破局で彼女が言った言葉は、その後の小比類巻の行動に大きく影響しており、人類終了に間接的に関わっていくことになる。
劇場版では、クリスマスパーティーで栗原キホが門出たちに小比類巻との破局を語る構成に変わり、「門出たちとの別れ」と「小比類巻との別れ」が集約される形になった。原作に比べて別れの意味合いが強くなり、パーティー中にキホが言う「高校を卒業したら二度と会わなかったりしてな。」という言葉がより悲哀に満ちた台詞に聞こえた。小比類巻は本当に取返しがつかないことをしたしまったんだなとも思った。
次に、門出・凰蘭の過去についてである。原作では、大学生編の夏休みに彼女たちの過去が明かされるのだが、劇場版では分割して高校卒業前に挿入された。原作に比べてかなり早い。過去編の後に門出と小比類巻の再会するシーンがきたのは、最高だなと思った。原作では自分も特に意識をしなかったシーンだが、門出の過去を見たことによって、この再会を通して小比類巻≒過去の門出の構図が見えるため、小比類巻がどうなっていくかを示唆するシーンへと変わっている。
前章は原作読者目線でもかなり面白かった。後章の方が映画という媒体の本領を発揮できそうなので期待が高まる。