お酒が好きです。ので、酒の席で強いの?と聞かれたときには、強い弱いの話はせずにとりあえず大好きです!と答えるようにしています。下手に強いです!と胸を張ると、聞いてきてくれた人が自分より強かったときにちょっと負けた気持ちになりますし、変に弱いよーと謙遜しても、聞いてくれた人が全然飲めない人だったときに嘘じゃん、と思われてしまう。
2時間の飲み会ならば、ビール3〜4杯ぐらいがちょうどたのしい。四合瓶をひとりで空けるのはかなり厳しいけれど、駆けつけ1杯のビールにプラスで2合ぐらいまでならおいしく飲める。ワインは、1本買っておうちで飲もうとすると持て余すので基本外でしか飲まないけれど、外では楽しくなってしまって何杯飲んだか忘れがち。ごくごくたまーに楽しくなりすぎて飲みすぎて吐くけれど、公共の場で粗相をしたことは記憶にある限りではまだないはず。記憶は、最近はあまりないけどたまーに飛ぶ、こともある。実際に自分の酒の強さを客観的に表現するなら、たぶんそれぐらいになります。
極端に強くもなければ弱くもなく、一般的な飲み会ならばほどほどに楽しんで正気のままで帰宅できるし、なによりその間ほとんど顔色は変わりません。なんなら顔に出ないせいで周囲の人には実際よりも強いだろうと思い込まれているふしもある。会社のでかい飲み会で、仕事上ではほぼ関わりのないえらい人に「きみ強いらしいねー」などという言葉とともにビールを注がれたときにはさすがになんでやねん、と思いましたがまあありがたく飲み干しました。というかそれはどちらかというと目下の私の役割なのでは……? 弊社、なぜかやたらと偉い人がビール瓶やピッチャーを持っていろんな人に注いでまわりがちな気がしますが世の中そういうものですか? 実は裏であいつ上司に注がせるばっかりで全然お酌にも来ない常識知らずだぜ、などと思われているのかもしれません。こわい。でも怒られたことないからまあいいか。
昨今は社会的にどんどん脱アルコール的な方向に舵が切られているような気もしますが、だからこそ、ご年配の酒好きな上司にとっては飲み会でにこにこ酒を飲んでいるというだけでおぼえめでたき側面もあるのかもしれません。父母には感謝してもし足りません。強い肝臓をありがとう。父は九州の人間なのでやはり九州の血は酒に強いのかな。まあ父めちゃくちゃ真っ赤になるタイプですけど……母のほうが顔色は変わらないのですが、母はけっこう二日酔いに悩まされていたような記憶があります(うちは両親どちらも毎日酒を飲む家庭でした) 父が二日酔いになっているのは見たことない。ちなみに私は、明らかに許容量を超えていたり、飲酒中の水分補給が圧倒的に足りなかったなぁ、みたいな飲み方をしてしまったときは翌日もけっこう残るのですが、そうでなければあんまり引きずらないほうではないかなという気がします。いいとこ取りの酒耐性。改めて父母に感謝せねばならない。強い肝臓をありがとう……。
前置きが長過ぎる。
そんなわけで酒が好きで、酒でさえあればわりとノンジャンルで飲める方でもあります。おうちにはビール(最近はだいたい2種類ぐらい)とウイスキー(これだけは1本飲み切るまで次を買わないという誓いを立てている)とジン(こっちはタイミングによっては2〜3種類に増えていることがある)と、あとは季節限定の缶チューハイなどが常備されている。多すぎないか? でも私は人生はささやかな選択肢があればあるほど楽しいと思っているので「疲れた!今日は飲むぞ!」みたいな気持ちで帰宅した日にじゃあ何を飲もうかな?でちょっと逡巡したいのです。
もちろん人生にはそのささやかな選択すらも重荷になる夜はあるし、あんがいそんな日のほうが多いのかもしれない。ハイボールやジントニックを作るために氷や割材を用意するのもめんどうくさい、そんな日だってぜんぜんある。なんならそっちのほうが多い。世知辛い世の中ですね。だから、ビールはそんな夜のための飲み物でもあると思います。もちろん心の底から今日はビールが飲みたい!とうきうきしながら帰宅する日もあるけれど、何も考えたくないけどとりあえず一杯だけなんか飲んでその後はすみやかに寝たい……みたいな夜、何も考えずに手に取れるのがビールの良いところなのではないか、みたいに最近とみに思っている。
どんなにやる気のない夜でも、ビールを飲むときは必ずグラスに注ぎます。なんかこれ、たぶんもう習慣なんだろうな……。そもそも私がビールという飲み物にハマるきっかけになったのはベルギービールで、そこから国内国外問わず各種クラフトビールを見かけるたびに買っては飲むみたいな日々を経て、近所のスーパーで買える大手のビールがおうちで飲むには一番落ち着くし沁みるなぁ……みたいなところに最近やっと落ち着いた感じなので、色の違いとか泡立ちの違いとか香りとか、そういうのをまずグラスに注いで確認してみましょう!みたいな飲み方が習慣になっているのかもしれません。なにより、それすらも面倒と思ってしまう日はたぶんもう酒とか飲まないで本当に即寝たほうがいい。
あともうひとつ、結局ビールの見た目が好き、というのもあります。市販されているごくごくスタンダードなビールの、透き通った明るい金色と真っ白な泡のコントラストがとにかくきれいで大好きなので、一瞬眺めるターンは挟みたい。まあ最近は、スーパーで買えるビールもバリエーションに富み、季節限定も増え、注いでみると明るかったりちょっと暗かったりかなり赤みが強かったり、とそれぞれに違いがあるのですが、それもそれでけっこう楽しいのでした。
じゃあビールを缶から直接飲むのは邪道だと思っているのか、みたいに話になると別にそういうこともなく、缶で飲むからこそおいしいシチュエーションももちろんある。よく行くライブハウスは、たしか昔は生ビールはプラカップ提供だったのが(あれも好き、ライブハウスやお祭り会場で飲むプラカップの生ビールにはそこでしか得られない栄養がありました)おそらくコロナ禍あたりをきっかけに缶ビールに変わったのですが、私は、開演前の会場の一番うしろで壁にもたれつつ、ライブハウス会場でしか手に取ることのないハイネケンの缶(ライブハウスで缶ビール提供だと高確率でハイネケンな気がする、気のせいでしょうか……いつも同じライブハウスに行くからか?)をちびちびとすすりながら開演を待つ時間がかなり好きです。缶ビールだと、確保したい場所にたどり着くまでに中身をこぼすかもしれないみたいな緊張感が生まれなくてとてもいい。
あとはやっぱり旅行! 帰りの新幹線や特急列車の座席で飲む缶ビールってなんだかよくわからないけど死ぬほどおいしい。あれなんでなんだろうな。もちろん大手メーカーのビールでもいいのですが、そういうときはどうせならなんか、その土地でしか買えないビールが飲みたい。観光地の駅構内の売店には、だいたいその土地の限定ビールみたいなものが結構な種類売られているので、どれにしよう、と散々悩みながら1本を選ぶことすら楽しい。列車移動のお供には1本ぐらいがたぶんちょうどいいと思っています。新幹線のなかで2本は飲み過ぎという気がするし、1本めを飲んでいるうちに2本めがぬるくなっちゃうのも嫌なので。
1本飲んて、ちょっと眠って、起きる頃にはもう見慣れた大阪の街に着いていたりして、そこからまた日常に戻っていくのはまあまあ億劫ではあるのですが、でもまあおうちに帰ってもビールはあるし、なんなら場合によっては荷物のなかにお土産のビールがあったりもする(最近のクラフトビールは常温不可が多いのでお土産に買って帰るのはなかなか難しく、どちらかというと地酒とかを選ぶことのほうが多いんだけど) つらい夜にはビールがある、と思えばこそ、あんまりいいことのない日常でもまあなんとかやり過ごしていけるのかもしれません。いやまあもちろん、もっと他にも人生の楽しみはあるんですけどね。