大人の遠足、富山編2

satsuki
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公開:2024/11/9

富山といえば、ほたるいかとしろえび!

と、いうのが私の中でのイメージです。以前、会社の取引先に富山本社の会社があり、来社される際の手土産だったり、お中元、お歳暮の贈り物として頻繁に富山の白えびせんべいをいただいていました。大阪でもわりと買えるのでお土産候補からは外したものの、私はこの白えびせんべいがとても好きです。おいしい。ほたるいかはさすがに季節が違いすぎますが、白えびに関してはたぶん秋口でもぜんぜん食べられる、はず!

ということで、富山観光後半戦。富山城から富山駅まで徒歩で戻ったあとは、路面電車で岩瀬浜を目指します。

もはや信じられないぐらい天気良さそうな写真しか撮れない。あまりにもどどんと白えびを推し出していくスタイルに正直ちょっとびっくりしたのですが、白えび漁を行っているのは主にこの岩瀬と、あとはお隣の射水市の漁港の2箇所だけとのこと。それはシロエビの里にもなります。

そんな土地に来たのだから当然、食べます。白えびご飯。白えび、てんぷらとかかき揚げとかで食べることが多かったので生で食べるのはじめてかもしれなかったのですが、とろんと甘くて優しい味でした。甘海老に似てるのかな? なんとなく甘海老よりも柔らかい味だった気がする。お味噌汁も多分海老出汁で、餅巾着が入っていて幸せな感じでした。おいしかった……!

岩瀬浜の駅から歩いて5分もかからないかな?というところにあるごはん屋さんだったのですが、なんか不思議なお店だったな。カフェって書いてるけど外観は全然カフェに見えなくて、入ると入り口側のお店半分はナチュラルな雰囲気のおしゃれカフェなのにもう半分が車の展示場になっていた。真っ青なランボルギーニ(たぶん)の方を示されよかったら近くで見てくださいね、みたいなことを言われた気がするし、青いクリームソーダの商品名もランボルギーニフロートでした。でもここのクリームソーダ、めちゃくちゃ夢のあるビジュアルをしていてめちゃくちゃよかったです。その後の予定の関係などもあり頼めなかったんだけど……。

店を出た時に同行者にすごい勢いで呼ばれ、何事かと思ったら店の屋根にめちゃくちゃでかい猛禽類が止まっていた。野生?こんなところにこんな大きな野生の猛禽?みたいに話していたのですが、このあと行った展望台の近くでも2匹ぐらい見かけました。鳴き声からしておそらく鳶だったんだと思います。鳶、江の島にめちゃくちゃいるイメージというか実際江の島でめちゃくちゃ見たはずなのですが、あんなにおっきかったかな……と未だに半信半疑。


岩瀬浜は、富山市内を走る路面電車の北の終点です。駅の近くには港と海水浴場があり、大きめのお土産ものセンターみたいな建物があり、運河を渡って海岸沿いにてくてくと歩いていると展望台も見えてくる。

本日2度目の展望台。ぐるぐるとひたすら螺旋階段を上って展望室まで行くのですが、なんかちょっとそれが昔のRPGの灯台っぽくて面白かったです。階段は約100段、展望室の高さは20mとのこと。

港は関係者以外立ち入り禁止の気配があったのですが、展望台からは船の全貌が見えて嬉しかったです。でかい船、好きです。かっこいいので。

展望台の近くにいた(推定)鳶たち。観光地の野生動物らしく人間の気配には慣れっこみたいで、かなり近づいたのに逃げる気配はゼロだった。でかい鳥も好きです。かっこよくてかわいいので。

海岸線からすこし離れると、昔の建物が残る閑静な街並みがこじんまりとではありますが残っていて、この街並みの雰囲気の良さが、おそらくわりと最近観光地として注目されはじめているのではないかという雰囲気が、行く前に調べた感じではありました。実際行ってみた印象としては、観光地の顔をしながらもあまり観光業にがっつり街全体が力を入れているという感じはなく、どこかひなびた雰囲気があって静かな印象。お土産物屋さんとかにあんまり商売っ気がない感じがあって、それこそ古い建物でそのまま商売しているから外から中の様子が窺えず、ここは営業してるのかな?とどきどきしながら扉を押すことが多かったです。海水浴場があるので、真夏に来るとすこし印象は違うのかもしれませんし、平日の真昼間だったのでそこで暮らす人もまた出払っていたタイミングの可能性があって、すくなくとも私の目に映る岩瀬は本当に落ち着いた静かな街でした。


そんな街並みのなかに、旧馬場邸宅という建物があります。江戸時代から続く北陸でも有数の廻船問屋の邸宅で、邸内の一般公開は令和3年から。コロナ云々で予定がずれ込んだという可能性もあるかとは思いますが、やっぱり岩瀬、観光地化は本当にここ数年の話なんじゃないかな? もう一軒近くに森家という邸宅もあったのですが、そちらは能登地震の影響で現在一般公開は休止中とのことでした。地震の影響を感じたポイント2箇所目です。

古い建物が好き、という気持ちはもちろんあるのですが、私の場合たぶんもうすこし好きのポイントが偏っていて、古い建物に使われている昔の板ガラスと、不均一なその板ガラス越しのかすかに歪む風景がたまらなく好きです。ガラスづくりの技術が進んだ今となってはそういう歪みや不均一はもう狙っては作れない、と以前聞いたことがあって、だからこういう風景は今後どんどん見れなくなっていくものなのだろう、という気持ちがあるし、その分旅先などで出会えると嬉しい。邸内には地震が起きたら窓ガラスからは離れてください、という注意書きがいくつかあって、ここのガラスは能登地震では持ちこたえてはいるものの、やっぱりガラスなのでいつどんな事故で割れてしまってもおかしくはないのかもしれず、そうやって割れたガラス窓を今のもので修復したとき、もちろん建物自体の造りとか立地とかの魅力は変わらずあるわけではありますが、見える風景はやっぱり変わってしまうんだろうなぁと思う。見に行けて良かったな。

ちなみにこの建物、なんと観覧料は100円です。絶対もっと取っていいよ!? 岩瀬という土地が商売する気あんまりなさそうと思ってしまったポイントのひとつでもある。いや気軽な気持ちで入れて大変ありがたかったですが、絶対もっと価値のある景色が見れるよ!

あとなぜかこの建物、一角がブルワリー併設型のビアパブになっている。何故? でもここで飲むのも今回の旅の目的だったので飲んできました。ビールの種類は私たちが行った時は9種類(うち2種売り切れ) 個性的とか奇をてらったスタイルの限定ビールよりは、ホップと麦芽の組み合わせでバリエーションを出すオーソドックスなスタイルのビールを作ってるんじゃないかな、というラインナップでした。おつまみもビールのお供に振り切っていて、けっこうしっかりめのビアパブだった。ビールも燻製ナッツもおいしかったしとにかく雰囲気がめちゃくちゃ良かったので、近所のお店とかだったらここでだらだら1日飲む日が頻繁に発生してしまうと思う。素敵な場所でした。でも不思議。


岩瀬浜から観光スポットを巡りながら南下すると、ちょうど古い街並みが途切れるあたりに東岩瀬の駅があります。(こちらの写真は今使われている駅舎ではなく旧駅舎をそのまま残した待合室ですが)帰りはそこから再び路面電車に乗って富山駅……に行く前にちょっと途中下車をしました。富山の目的、寿司のためです。

これは寿司屋ではなくたぶん地元チェーンのスーパー。降りた駅の目の前にスーパーがあって、寿司屋の開店時間まですこし余裕もあるのでちょうどいいね、ということで立ち寄りました。富山にあるのに大阪屋。帰宅して調べてみたら創業者の方が商売を学んだのが大阪の地だったから、と付けられた屋号のようで、大阪って本当に商いの街なんだなぁ、と遠い地を通して実感することになった。帰りの新幹線の関係で、このあと駅に戻ってお土産物屋さんに立ち寄れるかがかなり微妙なタイムスケジュールだったので、私はここでお土産を買おう!と思ってお酒を2種類ととろろのおにぎりを買いました。結果的にお土産屋さんには寄れたのですが、スーパーで選んだお酒がちゃんとお土産屋さんにも並んでいて、富山らしいお酒を買えたっぽいことに満足しています。あととろろのおにぎりはお土産屋さんでは買えなかったので!

白とろろのおにぎりを買ったのですがこれ本当においしかった。黒とろろも並んでたんですけど味はやっぱり違うっぽいので(教えてくださってありがとうございます!)両方買えばよかったかな……でも次の機会の旅の目標になると思えばそれもまた一興かもしれません。たぶんとろろを削ったあとの板昆布を巻いたおにぎりもあったな。鮮魚コーナーに当たり前に昆布締めが並んでいたり、まるまる1尾の、しかもぴかぴかに新鮮そうな鯖がどどんと並んでいたり、あとパンのコーナーとかが地元のスーパーとはぜんぜん違って楽しかったです。昆布パンはなかったんだけど、それでも大手メーカーの、大阪では見ないなーみたいなパンがいっぱいあった。

お寿司屋さんは、実は行ってみたいなぁとあたりをつけていたお店が休み?でやっていなくて、じゃあ、とすぐ近くにあった別のお店に入ったのですが、ここもおいしかったです。けっこう住宅街って感じの町中にあって、あんまり観光客向けではなさそうな雰囲気もあった(でも観光客向けの富山湾鮨セットはあったので案外そうでもないのかな? いかにも街の寿司屋という雰囲気の穏やかさだった、私は高い寿司屋に怯えているので安心できる感じでよかった)のですが、平日の開店直後というタイミングで行ったせいか、それとも私たちの会話があまりにも何も知らない観光客だったからか、聞き慣れない寿司ネタについては優しく説明してくれてとてもありがたかった。ふくらぎはブリの幼名、さすはカジキ。覚えました。さす、それこそスーパーに行った時に並んでる昆布締めはほぼ全部さすって書いてて、でもさすなんて聞いたこともないし、昆布に包まれてるから見た目もわかんないし、あまりにも謎だったんだけど謎が解けてよかったです。いや、調べればすぐ分かることではあるのですが、地元の方が教えてくれるの、なんかいいなぁと思います。


そして帰路です。写真に写っている緑色の物体は朝ごはんを買ったお店で買った梨のスムージー。冷凍状態で売っていて、常温1時間ぐらいで飲み頃になります、とのことだったので、散策してるうちに飲めるようになるかなぁと思っていたのですがこれがもうまったく溶けず、結局帰りの新幹線で飲みました。梨とバナナと小松菜。これも素材そのものの味という感じでおいしかった。

あと今回買った自分用のちょっと変わり種のお土産が、たぶん富山のローカル地域情報誌。これ、お昼ごはんを食べたお店にずらーっとバックナンバー並んでてすごく気になってたので、道中に見つけた本屋の棚にあるの見てどうしても欲しくなって「ごめん寄らせて!」て買ってしまった。私にとってはかなり気合を入れないと行けない北陸各地の観光情報が、ちょっとこの週末にお出かけしませんか?のノリで紹介されててすごくよいです。とろろおにぎりが写っているのは気にしないでください。

これは富山銘菓の月世界、昔読んだ『作家のおやつ』という本の中で、複数の作家がお気に入りのおやつとしてあげていたのでずっと気になっていたのです。パッケージもかわいい。旅行後は様々なお土産の賞味期限とにらみ合いながら食べる順序を考えるターンに入るのでまだちょっと食べられてはいないのですが、たのしみ。


行く前は、日帰りなのに行きたいところ食べたいものをちょっと詰め込みすぎたかもしれない、と思っていたのですが、実際動いてみると案外ちょうどよかったのかな? という感じでした。うまく動けたのは晴れていたからというのもだいぶ大きいとは思います。知らない街を歩くのが好きなので、やっぱりお天気は良いほうが助かる。富山本当に楽しかった! 富山を当ててくれた友達に感謝を捧げつつ、次に行くなら春かなぁみたいなことを今は考えています。ほたるいかの季節にほたるいかをを食べたいので。