遠出しなくても旅行はできるという話

satsuki
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ここ数年の実感として、私は1日の睡眠時間が6時間を下回るともう一気にだめになる、ということがだんだん明確になってきました。仕事の日でも休みの日でもわりと目の覚める時間は変わらないので、基本的には6時に目を覚まして6時半頃には動きはじめる、みたいな生活をしているのですが、そうなると日付が変わるタイミングにはもう眠りについていたい。とはいえ布団に入って即寝落ちできるタイプでもないので、23時を過ぎると寝なきゃーみたいな感じで準備をはじめることになる。

最近は主な余暇の過ごし方としてVTuberとか配信者とかをゆるく追っていますが、そういう活動をしてるひとって基本夜型生活のひとが多いし、配信のゴールデンタイムも21〜22時開始ぐらい。終わる時間の読めないものだと、開始時間だけならリアタイ視聴できるタイミングであってもたぶん最後まで見てたら翌日が終わっちゃうな、みたいなことが予想できてしまうので普通に視聴を諦めてアーカイブに回してしまうことが多いです。リアタイを途中で止めるとどこまで見たかわかりにくくなるし、私は続きが気になると眠れなくなりがちだし。あとリアタイしててもどのみちほぼほぼコメントしないからアーカイブと変わんないというのもある。ゆるくしか追ってません、と言い添えてしまうのはそういう理由もあったりなかったりします。

でもたまに読み間違えて翌日に支障をきたすこともあり、先日それで大変な目にあいました。いやまさかみんなでオフで会って楽しかったよーというだけのお話で3時間を超えるとはね。私は既になんかもう彼らが楽しそうにしているだけでたのしいねぇ、となるぐらいにはおたくなのでぜんぜん楽しく聞いてはいたのですが、そういう楽しいよ!みたいなテンション高めの配信って見終わったあとも即眠れるわけじゃないので……たのしくなってしまうんだよな。配信というものを、すくなくとも私は楽しくなりたくて見ているのでそれはありがたいことなのですが。

そんなわけで、追ってる配信者のグループが大阪でオフ会したよー、という報告をあげていて、私は大阪の人間なので大阪だったんだ!とちょっと嬉しくなってしまった。言ってしまえば直接の関わりはない他人の、大阪楽しかったよ、という報告だけで嬉しくなれるのは自分にとってはまあ意外でした。地元愛みたいなものがそんなにあるタイプではないと思っているので。でもまあ、それこそこの夏いろんな人が遊びに来てくれたときだって毎回楽しいと思って帰ってくれたらいいなぁみたいな気持ちはあったのでそういうものなのかな? 会った人に関してはそりゃあ会う約束をしていたので、せっかく一緒に過ごしてくれた時間を楽しかったと思ってほしい、みたいなのもあるとは思うんだけど。


ずっと大阪に住んでいるから、生活の場としての大阪を愛していないとはさすがに口が裂けても言えない身ですが、それでも観光地としての大阪、を考えるときに正直そこまで魅力的な街ではなくない?という気持ちはずっとあって、京都とか奈良とか兵庫のほうが楽しい場所がたくさんあるでしょう、と思っていた時期が長い。和歌山は……和歌山はもう個人的にはめちゃくちゃ大好きなんですけど、遠方の方が観光の目的地として訪れるハードルは高いだろうなという気持ちがあるのと、公共交通機関と徒歩である程度有名どころを網羅できるタイプの観光地ではないので……和歌山の好きなところ、たぶん車がないと行きづらいとこばっかなんですよね……。滋賀も広すぎて難しい。行くと楽しいんだけどね……。

とかく、そんなふうに考えていた時期は長いのですが、最近になって、いや、大阪わりとおもしろいんじゃない?という気持ちが生まれはじめていて、これはたぶん、私が近場に遊びに行くよ、となった時の選択肢が、梅田とかなんばとかのわかりやすい繁華街ではなくなってきたことが大きく関係している、と思います。でかくてわかりやすい繁華街はむしろ年々行きたくなさが増していて、それこそ遠方のともだちが大阪行くんだけどどこが楽しいかな……みたいにもし聞いてきてくれてもあのへんは人多いだけでなんにもないよ!て言ってしまうような気がする。もっと別のとこ行こうよってなっちゃう。

大阪城近辺は結構好きでよく行っていた時期があります。思いっきり観光名所だからたぶんひとは多い場所のはずなんですが、そもそもの敷地も広いのでごった返した感じは意外となくて、人多っ!みたいな気持ちにはなりにくい気がする。中之島周辺は観光地になるかわからないのですが個人的に雰囲気が好きで、薔薇園があるので薔薇の季節になるたび毎年行っていた時期がある。造幣局の桜の通り抜けも好きで毎年行っていた時期があって、そのたびにあの周辺をぼんやりと散策したりしていました。

東京も、ちゃんと意識しながら歩いたことはないので想像なんだけどわりとそういう部分はあるんじゃないかなと思うんですけど、大阪も、オフィス街と住宅街が地続きで、下町じみた商店街と高層ビルが隣り合わせにあるような、狭い土地だからこそのざっくばらんさというか、ちょっと混沌とした感じがあちこちにある。ちなみに大阪のほうがめちゃくちゃというか、ざっくばらん度は高いんじゃないかなって勝手に思っています。というのも、わりと頻繁に通るからあまり意識して見ていなかった場所をふと新鮮な気持ちで眺めてみたら、かなり趣のある歴史ありそうなレトロビルの1階部分だけがピカピカのドラッグストアに改装されていて、この状況を当たり前の風景として受け入れていた自分にびっくりした、みたいなことが最近あったので。

ただこういう楽しさは、ただ目的なくそのへんを散歩する、ということを楽しめる人にしかおすすめできないし、共有もできない楽しさではあるかもしれません。私は知らない街を歩くのが好きなので、そういう観点で大阪を改めてみた時にまだまた知らない街ばかりだしなんだぜんぜん楽しいじゃん、みたいになったんだと思う。とはいえそういう観点から見たらたぶん「面白くない街」を探すほうが難しいから、結局大阪は魅力的な土地なのかと問われれば首を傾げてしまうことに変わりはないかもしれないのですが……。


そういえば、大阪で生まれ、育って、大阪以外の地で生活をしたことは一度たりともない身ではあるんですけど、大阪のホテルに泊まったことは2回ぐらいあります。1回はめちゃくちゃ最近で、京都に遊びに行ったら楽しくなりすぎてしまって同行者ともども終電を逃しとりあえず戻れるとこまで戻ってきて飛び込みでビジネスホテル取って一晩をやり過ごしました、みたいな、愚かな(しかし楽しい)経緯でなのですが、もう1回はそれこそオフ会でした。こっちはものすごく昔の話。法律的にどうだったかまでは思い出せないけれどたぶんまだ私がお酒を飲めない頃に(飲めない頃があったのです)当時入り浸っていた界隈の結構大規模なオフ会がなぜか大阪で企画され、私はそれにどきどきしながら参加したのでした。インターネットで知り合った人と現実で会った最初の記憶かもしれません。泊まりが無理な人とか大阪近辺の人はお昼だけの参加でもいいよ、と言われていたと思うけれど、せっかくだからと思って宿泊組に混ぜていただいた。あれ親にどう説明したんだろうな。私は親に素直にインターネットで知り合った人と会いますみたいなことを言えるタイプの子供ではなかったし(しかも宿泊、初対面で)それであっさり行っといで、となるような時代でもなかったような気がするのですが。

たしか道頓堀の周辺でお昼ごはんを食べ、通天閣に上り、そこから徒歩圏内のホテルに泊まったような気がする。ちがうかな? ホテルは道頓堀の周辺だったかもしれない。どっちにしろ、今大阪に泊まるってなってももうあの辺では宿とか取らない気がするので、そういう意味でもあの時にしかできなかった貴重な体験をしたのかもしれません。通天閣に行ったのはあれが最初で、いまのところは最後でもあるのですが、楽しかったな。今の私が行っても楽しいのかな? まあ楽しい場所ではあるんだと思う。でも私が今懐かしがってるのって、あの時のテンション感とか一緒にいた人たちとの空気感とか、そういうものも含めた楽しさの記憶だと思うので、ひとりで行くのはさすがにぜんぜん違う気がするな。やっぱり今はもう、別にひとりでわざわざ行きたい場所ではないですね。


スズキナオさんの『家から5分の旅館に泊まる』という本がすこし前に発売されているのですが、これがタイトルだけであまりにもわくわくする。絶対読みたいなぁと思いながらまだ買えてもいないんですけど、素敵なタイトルだなぁと思います。旅行って言葉にすると身構えてしまうけれど、そんな感じで、別にわざわざ遠方に行かなくても充分に楽しめてしまうことはある。コロナ禍であんまり遠出とかできない頃に、県内のホテルへの宿泊がお得になるようなサービスをやっていたところも多くて、普段は泊まれない高いホテルでのんびりするのがとても楽しい、みたいなレポをたくさん見かけて以来、それも一度はしてみたいことのひとつになっています。まだ叶えられてはいない。大阪のホテル、今は普通のビジネスホテルもだいぶ高くなっちゃってる気がするし。

宿泊ではありませんが、それこそコロナの真っ最中に大阪のお高いホテルにお高いモーニングだけ食べに行ったこともあります。あれもめちゃくちゃ楽しかった。モーニングがおいしいのはもちろんなのですが、その後にホテルの近くをふらふら散策したりして。知らない街の朝の空気、の非日常感てすごくて、ただただ早起きしてきただけなのになんか本当に旅行してたような気分になれました。確かホテルでお土産まで買ったんですよね。あれまたやりたいんだよな。ホテルじゃなくてもいいのでなんか雰囲気のいい空間で素敵なモーニングを食べたい、という欲望が常にうっすらとあたまのなかにあり、なんならモーニングを食べに行きたいちょっと素敵な喫茶店をちょいちょいチェックしたりもしているのですがなかなか実行に移せません。おかしい。早起きは苦ではないタイプなのに……。

まあ、そんなに近場で旅情に浸らなくともこの秋はたくさん普通に旅行に行くんですけど。楽しみではあるのですが珍しくぜんぶ一人旅ではないので緊張もしています。起きれるかな。いえ、早起きは本当に苦ではないんですけど……たぶん全部普段よりもさらに早起きをせねばならないので……。