私の好きを言えない

小夜和
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新年度が始まると、様々な人と新たに出会うことだろう。すると、殆どの場合「好きなもの」の話になると思うのだ。これは只の話の繋ぎかもしれないけれど、「あなたの好き」を知りたいという気持ちもあって、問いかける。

もしかしたら、私と同じものが好きかもしれない。そんな期待を少なからず持っているように思う。

しかし、私という人間は自分の趣味をできるだけ当たり障りのないように丸めてしまう癖がある。私は所謂オタクで、もっと好きなゲームとか好きなキャラクターとかが居るのだけれど、それをあまり人に伝えない。その癖してスマホにも手帳にも私の「好き」が沢山散りばめられてあるような人間だ。

本が好き。美味しいものが好き。甘いものが好き。

当たり障りのない好きだけ伝えて、他の好きは時折零す程度だ。

SNSなら、私の好きなものは隠さず語れるのだけれど、対面だとそのままの私で向き合っているものだからやんわりと丸めてしまう。

今の時代、もっと素のままでも良いのだろうし、そこまで隠すならスマホや手帳に推しを挟み込まない方がいいのに。

それでも、なんとなくの気恥ずかしさがあって、好きだと言わずに当たり障りなく話を終える。

もしかすると、好きなものに対して否定的な反応をされるのが怖いのかもしれない。まだオタクに批判的な世間のような気がしているのかもしれない。そんなことないのに。それは、ただの邪推でしかないのに。

それでも、やっぱり私は好きを好きと言えず、当たり障りのないように丸めてしまうのだった。

@sayona
好きなもののはなしと、私の価値観のメモ。 SNS⌂(二次創作+推し用。居住地)kmy.blue/@yonanasayo ⌂(趣味思想用。別荘地)bsky.app/profile/yonanasayo.bsky.social