今期オオカミメモ

sayuk
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公開:2024/10/21

 前回をみるかぎり、「オオカミ解除」は「カップル投票」1位の場合に発動するらしい。オオカミは「その人自身」ではなく「役割(呪い)」のようなものとなっている、という話を初見時にしているのだけど、この解除条件をみるとそのどちらでもなく、「関係性」の上にあるのではとも言える。個人/役割/関係性のどの位置にそれはあるのか、という話はコミュニケーション社会学っぽい。

 次回予告を見ると、2人に告白を受けるメンバーがいる(しかも複数いる)っぽい。単純に一人が告白してオオカミだったけど解除されました、みたいな話とはだいぶ異なる。

 これまで(オオカミ解除のない設定)では、オオカミは風船を空に離すという形で「回答」を行っていた(相手が何人いたとしてもその回答は同等だ)。しかし「解除されたオオカミ」の場合、おそらく非オオカミと同じく、被り物を外したのちに、2人のうちの一方に風船を渡すことになる。そうだとするともう1人に対しては、「恋愛禁止のオオカミ」としての回答ではなく、「解除されたオオカミ」=「恋愛可能な人間」となった上で告白を「きちんと断る」ことになるように形式的には見える(これもまた再三論点としている、オオカミは「恋することができない」というよりむしろ「原理的に振ることができない」という形で「恋愛禁止」がなされている、という話でもある)。

 しかしこれは前述の「カップル投票1位の結果として解除がある」=「関係性の上にオオカミ性がある」、とは厳密には一致していない。投票1位でないカップル(関係性)の上ではオオカミ性は解除されないとみるのが自然だし、役割じたいに解除が遡及するとしたら棚ぼた的に(振られるとはいえ人間としてきちんと振られるので)見えて座りが悪い。この点はどうするのだろう。(「2人に告白を受けるメンバーが複数いる」のでその差異も見ることができてしまう)

 (解除される=被り物を外した時点で、相手が一人なら風船を渡すが、2人以上なら風船を離す、なぜなら解禁されるべき恋愛には選択と応答という2つのフェイズがそもそもあり、「このシステム」ではその後者の呪いが解除されたにすぎないので、より先のバージョンアップを目指すことが「恋する私たち」の願いだと気づいたから、までやればかなりアクロバティックでは…?)

 恋リアにおける形式と実質の不一致/コンフリクトみたいな話にもまたなりそうだけど(ローズシステムとか)めんどい。

「オオカミは『恋することができない』というよりむしろ『原理的に振ることができない』という形で『恋愛禁止』がなされている」、これは主語を「アイドル」に変えればよりわかりやすい。(しかしアイドル/元アイドル/事務所所属etc.のメンバーが「本当の恋をする」という名目で出る番組、さらに解除(しかも視聴者投票で)という仕組みも加わるとメタのメタな感じも)

(っていうか、「選択と応答の2つのフェイズ」のうち「アイドルの恋愛禁止」は前者のみが徹底的に奪われていて、なのでオオカミシリーズをアイドル構造への批判として見るなら今期の「解除」という中途半端な寛容にも抗するよう描かれるのが理想の展開なのかも。書いてて分かってきた)

(前期あたりで「完全に理解」したこと>迷ったり躊躇ったりしてる人をパーソナリティと視聴者はオオカミとして名指し脱落させている。なぜなら迷いと躊躇い(選択と応答の困難さ)の中にこそ「本当の恋」があるからで、そして恋リア的虚構のなかでは脱落者のシンデレラタイムにおいてのみ「本当の恋」は実現されているから、「本当の恋」している/すべき者が「脱落投票」でむしろ「選ばれて」いるのだ…!)

(いちおう注記しておくと、前回までは風船を手放すという形でオオカミとして回答しているのと別に、手紙を渡してその中にいろいろ書くことで人間として回答していて、風船と手紙という応答の二重性(引き裂かれ)がシリーズの肝でもある)