どこか遠くに行きたい

hitsuji
·

何もかもどうにでもなればいい、と何度も何度も思うのに結局現実にしがみついたままでいる。冬が過ぎてもう春。いつの間にかまた新たな生活が始まっている。みんなはできているのに、と囁く声に嫌気がさす一方で、流されるように踏み入れた新生活に相変わらず適応できないままでいる。泣きたい。

4月ももう2週目が終わる。普段の何倍も元気に振舞ってしまったためかもう既に今月の元気はゼロ。このままじゃまた心が沈んでいく。


将来の約束、というのは何かと便利だ。叶えなくても叶わなくても、その存在だけでなんとかやっていけるときがある。時々。

自分を大切に、と謳っている本にもそう書いてあった。自分との約束も守ることが大事らしい。私は苦手だ。他人との約束はちゃんと守れても、自分との約束はないがしろにしがちだ。

だけど、沈んでいる心を浮かせるためにも考えることにした。

・今月公開の映画を見る。

・旅をする。

・学習環境を自分に合った形に整える。

わくわくすることを未来に置いてきた。

だいじょうぶ、もうすこしやっていける。


遠くに行きたい。漠然としたなにか。旅にも出たいけれど、それとはまた違うもの。濃い霧で周りが見えないような感覚になったとき、ガラスが割れるような音がしたとき、そう思ってしまう。ここではないどこか遠くに行きたい。置いてけぼりになっている心がそう呟いている。逃げてはだめだ、と誰かが言っていた。そうは思わないにしても、やっぱり、「逃げている」と自覚してしまったとき罪悪感に苛まれる。うまく息が吸えないまま、ドクドクと響く心音に怯えながらその気持ちが去るのを待つのはいつだって怖い。何度も何度ももうすこし、あとすこしなら大丈夫だと言い聞かせてはこの毎日から逃げないように、目を背けてしまわないように、自分を向き合わせる。どこに進めばいいかなんてわからない。ただ心だけは遠くに行きたがっている。ここではないどこかに。

@schlafmittel
ふゆ と よる