オーディンスフィア・コルネリウス編クリア感想

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オーディンスフィアをプレイしている。今回はグウェンドリン編に続く第二章。

主人公はタイタニア王国の王子、コルネリウスなのだが、何者かによって「プーカ」と呼ばれるウサギのような姿に変えられてしまう。

亡バレンタイン国の姫であるベルベットとの恋はどうなってしまうのか?プーカに変える呪いをコルネリウスにかけたのは誰で、何のために……?という謎だらけから始まるストーリー。

しかも進めていくたびに、バレンタイン王国がなぜ滅びたのか、またタイタニア王国の現王が隠しているタイタニアとバレンタインとの戦いの裏側でそれぞれに起きたことなど……オーディンスフィアの世界観がぐっと広がる話がたくさん出てきて深みが増したシナリオだったな。

主人公は呪いでプーカにされるし、ベルベットとの関係もプーカのままだと自分だと明かせない。呪いを解くためにドラゴンのところに行くと、ドラゴンも卵を奪われてるわ仲間を殺されてるわだし、黒幕を見つけ出したと思ったらそのしもべになって人を食っているドラゴンも脅されてそうしていただけだったりと、全方面で悲劇が連続していて辛かった……。

コルネリウスというキャラクターも、最初は「こんな善良で真っ直ぐなやついないだろ……」とその態度が鼻についていたんだけど、ストーリーが進んでいくとその意味がわかった。どこを見ても悲劇、悲劇の展開の中で正義と誠実が一度も揺らがないコルネリウスの姿が、唯一の希望の光に見えたからだ。

だからこそコルネリウスとベルベットのラストシーンは、コルネリウス編を総括するにふさわしいラストシーンだったと思う。

結局コルネリウスはプーカの呪いを解けずにいるし、バレンタイン王は予言にあるという「終焉」を仄めかして去るし、ドラゴンたちはその命を奪われるばかりだし……そんな中で、ベルベットが「それでも」とコルネリウスに伝える想いは、コルネリウスが奔走したからこそかけられるべき言葉として聞こえてくる。

たくさんのことが変わりゆく(しかも悪い方向にばかり)中で、それでも諦めない心を持つこと、変わらないもの──人が人を愛する心が、それを支えるものとして揺らぐことはない、というメッセージは、すごく響くものがあった。

現実を見てみると、悪くなっていくことばかりが目に付くように思う。世界中で起こる戦争や、天変地異、民のことを考えない国のトップ……すごく身近なことで言えば、Twitterというインターネット上の巨人が崩れ落ちていっている中で、数ある新興SNSへと居場所を移さねばならなくなった人も多くいるだろう。

私たちは色んな現実の状況を見ては「ここはもうだめだ、もっとマシなところにいこう」と思い、不安や心残りを抱えながら、流浪の民のような気持ちを抱えながら過ごしているのではないか。

永遠に変わらぬものなどありはしない。そう誰もが思っている中で、それでも変わらないものを信じ続けていくことだけが、人にとっての希望になる。

それが、コルネリウスとベルベットを呪いという悲劇が引き離したとしても、決して引き裂くことなどできなかった理由の一つであるし、私たちにとってもそれは同じことだろう。

この現実の中で希望はどこにあるのか。

それはあなたが希望を信じ続けるところにある。誰かに対する愛を保ち続けるところに、それは確かにあるのだ。

@seelsorge
まじめなキリスト教のはなし……以外にもいろいろ書き散らすよ。個人ブログ( kyrie-eleison.net )を作ったのでそちらにお引越しした。 Bluesky→ bsky.app/profile/seelsorge.me