人間関係に対する考え方の出発点は「誰とでも仲良くなりたい」だった。なぜそう思ったのかは分からないけど、少なくとも学校という社会圏に入ってからはそう思っていた。
でも10代の頃に気付いたのは、「自分を苦手とする人、嫌う人とは頑張っても仲良くなれない」だった。書くと当たり前な話かもしれないけど、最初はそれもなんとかできるつもりで居たらしい。
20代になって気付いたのは、「自分からみて苦手に感じる、好きになれない人も居る」だった。誰とでも、という根本に立ち返る話だけど、自分にだって合う合わないの感覚があって、ちゃんとそれに従うべきだと思い直した。
30代になって気付いたのは、「人は変わる」だった。様々な外的要因で人の行動は変わり、考え方も変わり、感情も変わる。変わる前を惜しんでもその水は戻ってこないし、変わっていく先を追ってもその肩を掴むことはできない。
八方を目指した小さな子供心は、行き先を塞がれたり塞いだりして、今は三方くらいを見ながら生きている。
元々人間の視界に入るのなんて三方向が限界なので、ただ当たり前の人間になっただけかもしれない。