泣かない人は、愛されることを諦めた人だ。という言葉を、どこかで読んだ。
初めて読んだ時、なんとなく、分かるような気がした。
「じゃあ、素直に泣く人は、諦めていない人なの?」
そうかもしれない。
私には分からない。
諦める気持ちを知りながら、自然に涙が出てくる人もいるかもしれない。
いつだか、会話をしていて
「お母さんに嫌われないように……」
と呟いた時
お母さんが、「親が子どもを嫌うわけないでしょう」と怒ったことがあった。
私は「どうして怒るの?」と思った。
あるいは、こう言って欲しかったのかもしれない。
「嫌ったりなんかしないわよ」とか。
「どうしたの、そんなこと心配しなくても大丈夫よ」とか。
昔は、お母さんがそういう時に怒るのは、真剣な気持ちだからなんだろうと思って、深く考えなかったけど
今は……よく分からない。
私が考えすぎなのかもしれない。
だけど、あの時、怒るお母さんを見て
「図星をつかれた時と同じように、嫌いだという気持ちが少なからずあるから怒ったんじゃないの?」
「自分の子どもを嫌う自分を認められないから、怒るんじゃないか」
とも、思ってしまった。
本当のことは、彼女にしか分からない。
たとえ、お母さん自身にも分からなかったとしても、それは仕方のないことなのかもしれない。