あしたが来る前に

sekig
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今日が終わる前に、やっておきたいことがある。明日が来る前に、やりたいことがある。

正確に言えば、やりたいことは特になくて、ただその時間がほしいんだと思う。明日を望まないわけじゃなくて、隙間がほしいのだ。幸い睡眠に問題はないけれど、夜更かししがちなのは変わらない。小さな頃はとても早く寝る子供で、今でも寝る時間が好きなんだけれど。ぼうっとするとすぐ寝てしまう。

大学時代。夜勤のバイトをしては午前の講義に出るために朝駆けの部室で仮眠したり、夜な夜なモニターの前で試行錯誤とできあがらない恐怖を行き来したりしているうちに、僕は夜の民になった。夜は怖いものではなくなった。その静けさが、ちくちくした自我をなだらかにしてくれる。

 

今の自分がやっているような夜更かしは、その日に満足していないからだ、とか確からしい話も知っている。でもその原因を突き詰めたりすることもない。思いつめることに重大な意味なんてないからだ。そこにただ時間だけがある。

恒常的に睡眠時間が足りないと人は酩酊状態と同じくらいの脳機能になるとも言う。カイゼンしたほうがいいに決まっているのだが、その無駄、不可解さをどこか好んでしまっているところもある。夜更かしの嗜みだ。

ただ僕は夜を過ごす。そうすることで、その日を終えて明日をやっていくための、切り替えの時間。ただそれだけ。

そんな夜の民がどこかにもいるんだろうなと考えながら、心のろうそくに火をつけて、豊かな夜の時間を蓄える。おはようございますと言うために。