朝、車のエンジンをかけると、カーステレオから、昨晩聴いていた「Night On Earth」のサウンドトラックがかかった。映画は夜についての内容だが、音楽は早朝の風景にもなかなか合っていた。曲名を見てみると、"Good Old World (Waltz)"。続いて、"On The Other Side Of The World (Instrumental)"が流れた。
つい先日、撮影で認知症の方を対象としたデイサービス施設を訪れた。そういった場で、どんな人がどんなことをしているのか、全く知識が無かったぼくは、スタッフや利用者の方々の様子を、2日間だけだが、撮影を通して見させていただき、その姿にとても感銘を受けた。そこにはユーモアが常に溢れていて、人と人が尊重し合い、あたたかく接し合っていた。人が持つ計り知れない深みの様なものを感じた。
ぼくが見たその世界は、単に今までぼくが知らなかったというだけであって、ずっと前からすぐそばで、当たり前のように並行して存在している。ぼくが知っている世界なんて、相変わらずほんの少しなんだなぁと、その日、あらためて実感した。