玄関を開けたら、外一面を霧が打ち付けていた。
唖然とした。先ほど買い物へ行ったときは、清んだ青と濁った霧を、白い雲が分断しているだけだったのに。
けれど、ふと一方を見てみれば、青空はまだそこにいた。おてんとさん、気紛れな奴め。
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吹きすさぶ風。まだらに濡れるアスファルト。呼吸をする口から、時折感じる雨の味。
それでも散歩道は変わらない。二ヶ所の道祖神に挨拶をできる、お散歩ゲームのチェックポイントを4つ回収できる、決まったルート。
神社の横を過ぎた辺りで、暴風がピークを迎えた。思わず石碑群のそばで立ち止まり、身をかがめる。頭上では松の葉が揺すられ、聞いたこともない音を立てていた。
……帰ったら、ぬくぬくと過ごそうか。防寒具はちゃんと着こんでいたものの、さすがにお腹が冷えた。
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一時間半ほどすると雨は止んでおり、陽の光に照らされた霧は神々しく見えた。あまりの眩しさに、直視もはばかられる。
またしばらくして、外を見ると。無数の氷が空からそそぎ、屋根はとんでもなく愉快な音を奏で始めた。
なんて一日だ。