バスケットはお好きですか

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こんにちは。ペパボデザイナー Advent Calendar 2023 本日の担当の者です。普段はコミュニケーションデザインの仕事をしています。といっても今日はそこまでデザインと関係ない趣味の記事です、すみません。

『THE FIRST SLAM DUNK』(以下、ザファ)の再上映が決まりましたね。めちゃくちゃ嬉しいです。 私は昨年の映画公開後わりとすぐ鑑賞しました。うまれてはじめて同じ映画を観るために何度も映画館に通い、関連書籍やグッズを買ったりして過ごしていました。2023年はスラムダンクのお陰で乗り越えられたと言っても過言ではありません。

映画の素晴らしさはもちろん、スタッフのみなさんのファンとのコミュニケーションも素敵だなと感じます。ザファからファンづくりのヒントを考えてみる日記にしたいと思います。

ファンのニーズをよく見て、考えて、実行する

すごく当たり前っぽいことを書いてしまいました。でもこの姿勢を崩さず公開から1年間やってこられたのは本当にすごいことだと思います。

特に印象的だったのは、映画公開後すぐに「日本語字幕版」が、数ヶ月後には「英語字幕版」も公開されたことです。 また、応援上映や赤ちゃんと一緒に観れる回、小中高生向けの割引、キッズ向けの声出しOK回など、多様なニーズにこたえる取り組みがありました。 聴覚にハンディキャップがある人や日本語話者でない人、子育て中の人など、さまざまな事情・状況にできる限り対応しており、「この映画を色んな人に届けたい」という気概を感じました。

もうひとつすごいなと感じたのは「円盤、再販グッズともに受注生産制」「映画館限定特典のすべてを円盤に封入する」です。 上映中、時期ごとに種類を変えて特典を配布していたのですが、タイミングによっては手に取れなかったものもあります。あとから鑑賞した人は特にそうかと思います。 転売を防ぎつつ、ファンの心を理解する姿勢によって、信頼関係がより深いものになるように思います。

なにか企画があるたびスタッフさんがYouTube配信をされるのですが、「なぜ企画しようと思ったか」「どういった想いが込められているか」をお話されます。スタッフさん自身の言葉で伝えられることで、ファンはより作品への愛着やファンであることの誇りが生まれ、良い循環になっている気がしています。

やらないことはやらない

制作陣はファンに向けてたくさんのサービスをしてくれますが、やらないことの線引きはされている印象を受けます。

配信などでスタッフさんや井上先生の様子を見ていると、いやらしい言い方かもしれませんが、「ファンを単なるお金として見ていない」ことが伝わってきます。ファンと制作陣の信頼関係にはこういった点もあるのではないかと感じました。

みんなで作品を作る

公式サイトでは「SLAM DUNK POST」という、ファンが感想を書き込めるページが用意されています。 そこではさまざまな感想が読むことができ、みんなスラムダンクが好きなんだな〜とほっこりします。このサイトに滞在すると「映画よかった、ありがとう」と伝えたくなります。

また、上映終了後には「映画の思い出を振り返りシェアする」コンセプトの「LOCKER ROOM」というサイトもローンチされました。 ロッカールーム風のデザインに主題歌が流れ、映画の興奮や感動がよみがえってくるサイトになっています。映画を観て、部室に戻ってきて、知らないだれかと思い出を共有する、そんな体験を提供していると思います。 SNSをやっていないファンも想いをシェアしあえるコミュニティを育てる素敵な方法です。スタッフさんや井上先生の中に「みんなで作品を作る」意識があるのかなと想像しています。

他にもたくさんあって挙げきれないのですが、特に印象深いコミュニケーションデザインはこの3点でした。

ファンとして渦中にいて感じたのが、スタッフのみなさんは意図的にコミュニケーションをデザインしようとはしていないのではないかということです(感想サイトはその限りでない気がしますが)。 私たちWebサービスの仕事では、ユーザのロイヤリティが非常に重要です。ファンになってもらい、サービスに愛着を持ってもらい、それを維持するために何ができるか。ザファのスタッフさんたちからは計算ではない「作品を届け、喜んでもらう」という気持ちが端々から感じられました。結果的にファンコミュニケーションの好例となったのではないでしょうか。 映画は私たちには作れなくても、作品に参加できるようなコミュニケーションだと感じられます。そういったものを含めて『THE FIRST SLAM DUNK』のブランド形成にもつながっている気がしました。

最後に、『LOVE ROCKETS』で始まるオープニングは何度観てもワクワクして全身の血液が活発になるような興奮がありました。チバユウスケさんのご冥福をお祈りいたします。