母の遺骨を墓に納めようという話が持ち上がった。だが、「墓」と言っても実家は代々墓というものが無いので、どこか探して納めなければならない。
母は生前、元気だった頃に父と某お寺を観光したら気に入ったらしく、「そこに入れてもらいたい」と自分に話したことがある。
その数年後、エンディングノートを書いてもらった際は「山に散骨」とあって、あの寺はもうええんか?と疑問に感じつつも特に深くは追及しなかった。
そしていざ亡くなって納骨しようという段になって、父が「ウチの近所で」と言い出したのであった…。
え、いや、あの寺は?散骨は?と思ったが、当時より父の足がかなり悪化しており、歩くので精一杯な状態になってしまったのだ。勿論免許は返納済みだから、車に乗っていくことも出来ない。
まぁ遺された配偶者が希望してるところで良かろう、とは思うが…母がしょっちゅう零していた父への愚痴が耳に蘇る。
「おとうさんはほんまに、人の話を聞かへん!!」
…もし、自分がどうしても入れて欲しい墓があるなら、自ら進んで生前に買っておこうと学んだ。それなら流石に、遺族もそこに入れてくれるはずだ。余命宣告されてから「墓どうする?」なんて家族はとてもじゃないけど聞けないので、自ら用意しておくに越したことはない。
しかし意外と、代々墓というのは悪くないシステムなのかも知れない。何も考えずとも、そこに入るのがあらかじめ決まっているからだ。ただ普段のメンテナンスは必要だが…多分そこが大変なんだろうな。