以前見た匿名で相談できるサイトでの書き込みで、一人っ子を持つ若いお母さんが「弟か妹かを産んだ方がいいだろうか、自分の老後をその子が一人で看なきゃいけなくなるし」と相談していた。他にも「一人っ子は全て背負う運命で可哀想」という空気を前提として、弟妹を産もうか悩んでいる人は時々居た。
長らく一人っ子として生きてきて思うが、自分は本当に一人で良かったな、と感じる。ただ、性格によるところは大きい。
自分は何でも一人で決め、自分のペースで物事を進めるタイプだ。それが生まれた時からそうなのか、一人っ子故にそうなったのかは分からない。が、この「何でも一人で」が故に、もし仮に老親の介護等の問題が起こり、兄弟姉妹がに一言相談もしくは連絡してからでしか動けないのであれば、非常に面倒くさがったはずだ。賃金を貰える仕事なら、他人との協力の元成り立つものだからイライラしないし何でも報連相するが、自分の親に関する手続きで同じことをするなんて面倒くさいの極みである。しかも相手と仲が良ければまだしも、仲が悪かったら「連絡か…はぁ…」とどんよりするのも目に見えている。
と言うか、何人子供が居ても、老後を看てくれるか否かはそれまでの関係とその時の環境(そもそも生死すら未確定だしね)によるので、全員から是非ウチで!となるか、全員から総スカンを食らうかは本当にその時にならないと分からない。あと、兄弟姉妹だからって必ずしもお互いを支え合いながら生きていくものでもない。人生は思惑通りには行かないもの、本当にそう。
同じような「可哀想」には「歳を取ること」がある。日本では特に若さが重要視されることもあって、歳を取ったら終わりという風潮が強い。
自分もいい歳になりあちこちガタが来るし見た目もすっかり老いてきて無常を感じるが、歳を重ねて良かったなと思えることは山のようにある。
一番大きいのは、心の安寧が得られるようになったこと。
とても小心者で、他人からの視線に怯え、几帳面で完璧を求め、しかもアダルトチルドレンなので、若い頃は生きづらさを常に感じてきた。何が悪いかも分からず、毎日真っ暗な洞窟の中にいるようで、自分がどこに進んでいるかも分からない。分かるのは「しんどい」だけ。
しかしそれが色々経験をして、あれだけの小心者が物怖じせず社会的な諸々をこなせるようになったし、感情を客観視出来るので振り回されることもないし、「大体これはどうにかなる」という見通しが立つから社会と自分との付き合い方に慣れてきたので随分生きやすくなった。自分がこんなにテキパキと、時には適当にあしらいながら生きていくとは全くの予想外だった。
言うほど一人っ子も悪くないもんだし歳を取ることも悪くないものだ。ただそれが分かるのはある程度歳を食ってからだが、若い人は悲観しないで欲しい。
あなたが今、色々大変な想いをしながら生きている時間は、決して無駄ではなく、その分あなたは強くなっている。これは本当にそう。