私の会社には労働組合がある。社会人になった時は別の会社だったが、そこにもあったので自分にとっては「当たり前」だった。
それが世間ではマイナーな存在になっている。(「勤務先に労働組合がある」38.1%、従業員規模10人未満の職場では8.4%:https://files.value-press.com/czMjYXJ0aWNsZSM5OTAwIzMxNjAzMyM5OTAwX3JjdFFqdVZUS0YucGRm.pdf)
新しく入社しました、で急に「労働組合入って」って言われて、ナニソレ???で調べる人が結構いるのだろう、グーグル検索で「労働組合」って入れるとサジェストに「メリット」「デメリット」「ない会社」等が並ぶ。
そして大体検索に出てきた説明読んでも、固い文章が多くて「良く分からん」ってなりがち。組合側の説明だから、良いことしか書いてないんじゃないの?って疑心暗鬼にもなりがち。
という訳で、入っている人の生の声として書いておきたい。悩んでいる方の参考になりますように。
因みに結論だけ読みたい方は、最下段の「要するにどうしたらいいの?」まで飛ばして下さい。
ぶっちゃけ、労働組合って入った方がいいの?
ものすごく砕けて言うと「労働組合は保険」だと私は捉えている。
平常時は特に効果を発揮しないが、非常時は心強い味方になる。
「保険」に対する考え方は人それぞれ。ガチガチに将来を保障して欲しい人もいれば、生命保険すらいらんという人もいるだろう。なので保険が不要だって人は入らなくていいと思う。タダじゃないので、支払うお金と保険が釣り合うかを考えてもいい。
保険どうこうより会社や労働に興味があるなら、是非入って欲しい。加入したい、って申し出たらどこでも大歓迎してくれると思う。職場をより良くしたい、なんて理想がある人はもっと大歓迎。
因みに加入も脱退も任意。加入に強制を匂わせられても応じる必要は無い。しつこかったら「任意ですよね?」って返してやれ。
非常時って?
「非常時」は突然やって来る。
新しく来た上司がパワハラ満載かも知れない。仕事が急に増えて、残業ばっかり、ロクに休めなくて鬱病になってしまうかも知れない。
そういう個人の問題だけで無く、会社の問題もある。
「規約変更で来月から手当減らします」なんて言われるかも。「別の会社に出向して」「転籍して」って言われたり、会社そのものが合併だの吸収だの倒産だのもあり得る。
そんなこと起こらない?…そうでもないんだなあ…。
人間は毎日の生活を送る上で、いちいち明日どうなるかと不安を抱えながら生きていくことは殆ど無い。そんなことしてたら不安だらけで生きていけなくなるから「自分に大変なことはそうそう起こらないだろう」とふんわり生きている。
でもそれとは別に、会社は会社で変化はある。会社も人間の集まりだから、何年何十年も経てば色々出てくるのだ。
一昔前なら笑い話だったろう、「全世界を未知のウイルスが襲う」なんて。それすらも起こるのだから、何があってもおかしくない。
その非常時に組合は何を?
不利益を受けた人の代わりに、会社と話をする。
これが組合に入ってない人は、自分で話をする、もしくは黙って受け入れるしかない。
この場合の会社とは、経営陣を指す。社長とか取締役とかその辺のお偉いさん方に「ちょいとお話があるんですけど」ってアポ取って対峙して話せる人はいいが、大体の人は気後れするんじゃないだろうか。少なくとも私はそうだ。
会社全体の問題が起こって不利益を受ける人が大多数の場合は、皆の意見を聞いて回りそれをまとめて会社に訴えたりもする。
そして、黙って受け入れるよりかはマシな結果になることが多い。
非常時以外は何してんの?
「春闘」という言葉、聞いたことないだろうか。
毎年春、具体的には2月~3月頃に組合から会社へ要求を出す。それも組合員に「今回どういうの訴えたい?」ってヒアリングしてまとめている。
それ以外の活動は組合による。例えばウチの組合の場合、賞与に関しては別の時期に要求してる。
入ってもいいけど面倒くさいんだよな…
・面倒くさいその①「集まって何かやらされるんじゃないの?」
これは組合による。ウチの組合ではそういう集団活動は無かったし、精々親睦を深める為の飲み会が1年に1回ある程度だった。
組合規約に書いていれば絶対参加!はあるかもだけど、明記されてない場合は参加を断って良いと思う。詳しくは組合員に訊いてみよう。
・面倒くさいその②「持ち回りで執行部やらされる」
これは…本当にそう。これが原因で組合脱退した人もいる…。こればっかりは、回ってきた時に強く心を持って断ってくれ!としか言いようがない。でも、次どう?って宣告してくるのは鬼じゃなく人間なので「役員とめっちゃ相性悪くて視界に入ったら吐き気する」というような正当(?)な理由があるならそれ以上は言わない。多分。
かく言う私は、断るのが苦手故に何回も執行部やった。右も左も分からないのに、36協定が昇給が賞与がうんたらかんたらって知るかーい!!って何回泣いたか…。
今はインターネットという便利なモノがあるから、とりあえずグーグル先生に訊けばどうにかなることも多い。あと、恥ずかしがらずに経験者へ「何すかこれ…」って訊けば教えてくれる。はず。
・面倒くさいその③「集会に参加しろだの、意見求められたりだの、投票しろと言われたりする」
組合という形である以上、組合員の意見を聞く(場を設ける)ってのが大前提なので仕方ないんだよーごめんね。執行部だけで全部決めたら、それはもう組合じゃないんよ…。
入らなくても勝手に昇給して賞与貰えてるしなー
組合が春闘だのなんだのやってる恩恵は、確かに組合員以外にも波及している。
だけど、これだけは知っておいた方がいい。
職場の同僚の間で「こいつは組合入ってる、あの人は入ってない」って区別はあまり持たないだろうけど、会社は違う。会社は、組合員か非組合員かをはっきり意識して従業員を見ている。
非常時に「後ろ盾がある人とない人、どっちかひとりをどうにかしないと」って選択肢が出れば、どっちを選ぶか…は、分かるよね?
そうなっても組合は、組合員しか守らない。そこはシビア。
何故そんなに入れさせたがるの?
単純に、数は力だから。
人数が多ければ多い程圧をかけられるので、会社は組合を無視できなくなる。毛利元就の「三矢の訓え」を大人数に変えたバージョン。…まぁ、どんなに人数少なくても、1人であっても、会社がガチ無視したら違法になるから表立っては無視しないけど。
あとは、組合員の人数が従業員数の半数を超えてると、組合が自動的に従業員代表になれるのもある。従業員代表っていうのは、その名の通り全「従業員」の「代表」。会社は規約変更等の折に従業員代表にお知らせしてOKもらわないとダメっていう決まりがある。
その代表って1名なので、その辺の従業員がなった場合「何も分からんけど判子だけついとくか」という結果になる可能性が高い。でも組合なら複数人で確認できるし、皆で相談できるのも強い。
要するにどうしたらいいの?
その会社に長く勤めるつもりなら、入った方が良い。
長く勤めれば、その分会社が変化する出来事が増える。その変化がいいことだけとは限らないから。
すぐ退社して他の会社に行くつもりなら、入らなくて良いんじゃないかな。