
場所:大阪市立美術館 / 開催期間:2025年7月5日〜8月31日
昨日の体調が最悪だったので、もう諦めるしかないかも……と弱音でぐずぐず言っていたのだが、起きたら何故かすこぶる元気だったので行ってきた! とても暑かったし、なかなかの込み具合だったが、しっかり楽しむことができた。
まず、一番最初のジョン・ピーター・ラッセル「フィンセント・ファン・ゴッホの肖像」(1886)が、とてもよかった。私の中のゴッホのイメージはどうしても彼の描いた自画像になる。有名な耳に包帯を巻いているものや、今回の図録の表紙にもなっている「画家としての自画像」(1888)などだ。だが、ラッセルの描いた肖像画は、もちろん描いた人間、画風や時期が違うことはそうなのだけど、周囲から見たゴッホとゴッホの自覚するゴッホには、ずいぶん意識の差というか、なんだろう何か決定的に交わらないものがあるのではないのか、と感じた。これは完全に私の妄想になってしまうのだけど、ゴッホ自身もそのような差を感じていたとしたら、それは悲しみや苦しみの原因になっていたかもしれない。院生のときに受けた講義で、いせひでこ『にいさん』を担当したとき、ゴッホ自身について調べたこともあった。そのときの知識はかなり薄れてしまっているが、当時調べた範囲ではラッセルの肖像画には辿りつけておらず今回初めて見たので、より一層ショックを受けている気がする。
好きだな、と思ったゴッホの作品について簡単に述べていきたい。
「アブサンが置かれたカフェテーブル」(1887)、パリ時代の作品。瓶に入った液体の感じが好き。どちらかといえば色彩が明るく、軽やかな印象を受けるところもよいと思った。フレークシールにモチーフがあったので買っちゃった!
「浜辺の漁船、サント=マリー=ド=ラ=メールにて」(1888)、こちらも明るめの雰囲気。図録によると〝日本の浮世絵への愛着と熱心な研究の成果がうかがえる〟とのこと。たしかにぱきっとした印象。
「耕された畑(「畝」)」(1888)、雲がとりわけすごいと思ったのだが、厚塗りがほんとにめちゃくちゃ厚塗りですごかった。少し屈んで下から見ても盛り上がっていた。迫力。
「塀で囲まれた麦畑の向こうの山並み」(1890)、完成品ではなく素描。もともとラフ画というか、ざかざかっとした線に生命を感じるので、すごく好き。麦畑、とても波打ってる。いいなあ。
「麦の穂」(1890)、ゴッホの描くさまざまな麦畑をクローズアップしたら、こんな感じなんだろうか、と思いながら見ていた。図録の印刷は当たり前に綺麗なんだけど、やはり直接鑑賞したほうがよいな。

ゴッホの作品の中で一番好きなのが「カラスの飛ぶ麦畑」(1890)(※タイトル表記は図録に準じた)だ。出口直前のイマーシブコーナーでデジタルアート映像として観ることができた。こちらに関しては、写真撮影やSNSへの投稿もOKとのこと。どでかいスクリーンだったので、迫力があった。本物、見られたらそりゃ嬉しいけど、難しいのもわかるので、このようなかたちでも鑑賞できて嬉しかった。
今後、東京と名古屋に巡回するとのことなので、お近くの方はぜひ。図録も読むとこいっぱいでよいです……!